スピードスターが名乗りたい“総附の伊東純也”。長崎総科大附FW筒口優春は中体連出身のブレイク候補

　ただ、課題も同時に感じたという。「全国のチームは身体の作りも違って、やっぱりレベルが高かったので、『身体作りが大事だな』と思って、長崎に帰って筋トレをやったり、食生活も気を付けるようになりました。足元でこねるような部分は絶対に通用しないですし、相手のプレースピードも速くなってくるので、シンプルにスピードを生かせればいいなと思いました」。体感したレベルへと辿り着くため、意識は確実に高くなっているようだ。

「今回の大会はファーストタッチで相手の前に入ったり、裏に抜けたりする動きは良かったかなと。自分はスピードが武器だと思うので」と自己分析する筒口が参考にしているのは、日本代表でも一躍主力へと登り詰めたあのスピードスターだ。

「伊東純也選手の動画は見ていて、縦突破やクロスの部分は自分に似ている部分があると思うので、そこは参考にしています。自分の長所をどうやったら生かせるかを定方先生は結構言ってくれているので、それをやっていければもっと良くなると思いますし、そういう部分を学ばせてもらっています」。

　定方監督も「いいものは持っているんですけど、それを生かし切れないところがある中で、この2日間で散々言ったら意識が変わってきているので、彼にとってはこの大会が良かったかなと感じていますね」と期待を口に。目指すは『総附の伊東純也』。そうなり得る能力は十分に持ち合わせている。

　今年の目標を尋ねると、謙虚な言葉が口を衝く。「まずはちゃんとレギュラーを獲って、今は新人戦で優勝しているので、高総体と選手権もちゃんとタイトルを獲って、全国に行けるようにしたいです。個人的には1試合を通して走れる体力がまだないので、そこを付けたいですし、試合に出る時間とか、得点とかアシストとか、数字にこだわりたいです」。

　総附に現れたブレイク候補。筒口が描いていく成長曲線が、どういう方向に、どういう形で伸びていくのか、今からとにかく楽しみだ。

(取材・文　土屋雅史)