到来しつつある大きな流れ。夏冬全国8強の東山は周囲の注目度を意識しつつ、「届くとこ」の目線を上げる
ゲキサカ / 2022年3月14日 20時32分
間違いなく、大きな流れは到来しつつある。今までも何度か目の前に現れてはいたものの、ハッキリと引き寄せるまでには至らなかった波を、一気に掴むための大事な1年が、いよいよ幕を開ける。
「もっと注目されていることを意識せなあかんですよね。『意識するな』ではなくて、意識せな。今の時代は幸いにして、SNSも含めて情報が外に出るわけじゃないですか。それを意識せなあかん。『自分らは見られているから、責任のあるプレーをせなあかん』ともっと思っていかないと。『気にするな』ではなく、そのプレッシャーを感じれへんかったら、選手権の決勝の舞台なんて絶対無理やし、もっともっと強いプレッシャーがあるはずやし、そういう意識を持ってほしいなと」(福重良一監督)。
インターハイ、選手権とともに全国8強を経験した古都の実力者。東山高(京都)にとって、2022年は今まで以上に大事な年になる。
試合後。冷静に、だが確かな怒気をはらんだ口調で、集めた選手たちに指揮官は語り掛ける。強豪の集ったTOKINOSUMIKA CHALLENGE。昨年度の夏と冬の全国で、どちらも敗退を突き付けられた青森山田高(青森)とのリターンマッチに挑んだ東山は、再び1-3で返り討ちに遭う。
「青森山田独特のパワーというか、それは下の学年でも継続してやっていることなので、選手が変わっても一緒でしたね。それにウチの子らが負けていたので、課題をどう感じてやるのかというのが今回の“課題”ですよね。とにかく攻撃にしても、守備にしても、判断が遅い。全部後手に回っているので、そのへんをどう感じるか。こっちがナンボ言ったって、やるのはこの子らやし、この子らが本気で感じるかやし、もう1つは結局気持ちの部分で、去年もトレーニングマッチも含めて山田に3敗しているのを、『自分らの代では3勝してやるんだ』という感じが見えなかったですよね。そのへんが残念かな」。
選手権でも活躍したMF阪田澪哉(2年)は日本高校選抜合宿のために不在だったが、大会優秀選手に選出されたDF新谷陸斗(2年)やMF真田蓮司(2年)、MF松橋啓太(2年)、GK佐藤瑞起(2年)と主力も揃っていた中で、もちろんその実力の一端を覗かせる場面はあったものの、結果的にはほとんど選手権からメンバーの入れ替わっていた青森山田の強度に屈する形となる。
福重監督は去年のチームとの違いを、明確なキーワードで口にする。「やっぱり結局はまず『感情』の部分をもっと出さんと。そこが大事ですよね。去年は凄く『感情』があったから、本当はもっと力がないのにあそこまでのゲームができたわけで、今は去年の選手が残っているからとか、技術があるから、というので『感情』がない。だから、『感情』がベースとしてあるチームの青森山田に、何も発揮できないんですよ。試合前に『声出せ』とは言ったけれど、それで解決するものじゃないし、彼らも内面には持っているんやろうけど、サッカーはそれを表現するスポーツやから」。何よりも大事な『感情』を表出させるためのアプローチに、指揮官はさまざまな形で腐心しているようだ。
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