[プレミアリーグEAST]プレミア初昇格の前橋育英は青森山田との打ち合いを3-2で制し、堂々のリーグ3連勝を達成!
ゲキサカ / 2022年5月7日 22時5分
24分。ここも青森山田のスローイン。右から入れた渡邊の“投球”に、こぼれを拾った途中出場のMF別府育真(1年)はマーカーを外しながら右足を強振。ゴールへ向かったボールはポストを激しく叩くも、あわや同点という一撃に前橋育英も肝を冷やす。
「2点目を獲られた時は全員がショックで、『(青森山田は)ああいう感じに持っていって、相手がズタズタになっちゃうパターンなんだろうな』と思いました」と山田監督も苦笑したものの、ホームチームも粘る。185センチのDF斉藤航汰(3年)、180センチのMF小川雄平(3年)と相次いで長身選手を送り込み、ロングスロー対策も講じながら、終盤は5-4-1気味の布陣にシフト。パワープレーを仕掛ける相手の攻撃を、1つ1つ丁寧に凌いでいく。
45+6分のラストプレーは青森山田の右CK。途中出場のMF芝田玲(2年)が蹴ったボールが中央にこぼれると、DF西脇虎太郎(3年)とFW武田陸来(3年)が必死に残すも、小川が何とかタッチラインにクリアで蹴り出すと、鳴り響いたタイムアップのホイッスル。「青森山田は去年の王者ですし、今年も上位にいて、絶対に負けられない相手だと思っていたので、高体連同士で勝ち切れたというのは凄く良かったなと思います」と山田も胸を張った前橋育英が、シビアなゲームをモノにして勝ち点3を堂々ともぎ取った。
「今まではこんなにたくさんの人に見に来てもらう機会はなかったので、こういうスタジアムで多くの人に見に来てもらって、勝ち切ることができたので凄く自信になったかなと思います」と山田が話したように、改めて有観客の試合の意味を再確認するような90分間だったことは間違いない。
徳永が残した言葉も印象的だ。「選手権と同じくらいの人がいた気がしました。凄く楽しかったですね。『サッカーをやっている』という感じでした」。前橋育英がゴールを奪った時には拍手が巻き起こり、青森山田のロングスローが得点に結び付くと、明らかにスタンドにはどよめきがさざ波のように広がっていく。プレミアリーグという高校年代最高峰の舞台を、ピッチ内でも、ピッチ外でも、あらゆる人々が楽しんでいる空間が、この日の敷島には確かにあった。
山田監督はプレミアの試合をホームで開催することの意義について、次のように語ってくれた。「やっぱり子供たちにとって良い刺激になると思うんですよね。そういう子たちの参考になるために、良いゲーム内容であったり、勝負の厳しさだったり、『サッカーってこんなに凄いんだよ』『サッカーって素晴らしいんだよ』ということが伝えられたら一番いいなと思っていますし、プレミアに上がったからには、とにかくそういう回数を多くしたいですよね。それによって群馬県がレベルアップするのは間違いないので、もっともっと良いゲームを続けていきたいと思います」。
今年の高校3年生は、高校生活の大半をコロナ禍の中で過ごしている世代だ。この一戦が入学後で考えれば、初めての有観客試合だった選手も少なくないという。そう簡単に以前のような環境を求めるのが困難であることはもちろん承知しているが、この日の敷島のピッチやスタンドにあった熱量が、1つでも多くの試合会場に帰ってくることを願ってやまない。
(取材・文 土屋雅史)
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