「ゲームの世界の選手」との対峙と年代別代表で膨らんだ向上心。川崎F U-18MF尾川丈は戴冠を懸けた「9年間の集大成」へ挑む
ゲキサカ / 2023年11月19日 20時4分
昨シーズンは不動の右サイドハーフを務めていた尾川は、今季に入って1トップ下を主戦場にしていたが、夏前からはさらにボランチへとコンバート。「トップ下だとなかなかボールを触る機会が少ないですけど、ボランチだと自分でボールを受けに行けば、何回でもボールを受けられますし、もともとボランチもやってみたいなという想いはあったんです。ボランチ、面白いです」とポジティブに新ポジションへ取り組むと、8月にはSBSカップに参戦するU-18日本代表に招集される。
自身初となる年代別代表での活動は、新鮮な驚きと悔しさの連続だった。「もともとはそこまで代表を意識していたわけではなかったんですけど、入ったからにはやってやろうと思っていました。でも、なかなか自分の特徴や良い部分は出せなかったですし、一番の課題は守備の部分ですね。チームとしても個人としても、守備の部分は思ったようなプレーができなかったので、意識して改善していきたいなと思いました」。
とりわけ守備の重要性を突き付けられたのは、大会最終日のU-20関東大学選抜戦。スタメンに指名された尾川は、ハーフタイムでの交代を余儀なくされる。「正直メチャメチャ悔しかったです。一番は守備の部分のことを言われましたけど、攻撃の部分も何もさせてもらえなかったので、とにかく悔しかったです」。周囲の仲間も、対戦相手もレベルが上がる中で、改めて自分に足りない部分を見つめ直す機会となった。
U-18日本代表の一員としてSBS杯を戦った
ちなみに、この最終日の一戦でドイスボランチを組んだのは、1つ年上で今季からトップチームに昇格した川崎フロンターレの大関友翔。「去年の自分は右サイドハーフをやっていたので、ボランチで一緒にやることはなかったんですけど、コミュニケーションを取りながら、上手くやれたのかなとは思います」と尾川は“先輩”と一緒に中盤で並んだ45分間を振り返ったが、こういう“再会”が実現するのも戦うステージが上がったからこそだろう。
7月末には、川崎Fが国立に世界的強豪のバイエルン・ミュンヘンを迎えた一戦で、ベンチ入りを果たした尾川は後半41分からピッチへ解き放たれる。「ゴレツカ選手とか、コマン選手も出ていて、ほとんどの選手を知っていました。自分はよくサッカーゲームをやるんですけど、もうその感覚に近いですね。『もうこれってゲームの世界の話だよな』って(笑)」。
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