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J2からACL16強の甲府、足掛け3季の躍進劇に幕…指揮官が吐露した誇りと葛藤「クラブとしても足りない部分は明確」

ゲキサカ / 2024年2月21日 23時21分

 また代替本拠地となった国立には毎試合、大勢の観衆が来場。平日ナイトゲームの集客に苦しむビッグクラブもある中、グループリーグ初戦で11802人と日本勢唯一の1万人超えを果たすと、第2戦に12256人、第3戦に15877人、そしてこの日は15932人と、試合を重ねるごとに盛り上がりが高まっていった。その中にはJリーグ他クラブのサポーターも大勢訪れ、大きな話題を呼んでいた。

 もっともその一方、国立開催に至った状況にはクラブを取り巻く環境の課題も垣間見えた。Jリーグ公式戦で使用する本拠地のJITリサイクルインクスタジアム(山梨県小瀬スポーツ公園陸上競技場)を使えなかったのは、個別の座席数不足などでAFCライセンスが交付されなかったため。天皇杯優勝後には座席増設、新スタジアム建設の機運が高まりかけたが、いまだ具体的な建設計画には発展していない。

 またJ1昇格を逃したことによる課題も露呈した。一昨季の天皇杯優勝からACL開幕までの間にはMF山田陸(→名古屋)やDF須貝英大(→鹿島)がJ1移籍を選択し、今季開幕前にはDF三浦颯太(→川崎F)、DF井上詩音(→名古屋)、MF長谷川元希(→新潟)らACL躍進に導いた主力が一挙に流出。MF松本凪生(→C大阪)、DF蓮川壮大(→FC東京)、MF中村亮太朗(→清水)らレンタル組もクラブを離れ、ACLで選手の評価が高まった戦力を維持できないまま決戦に臨む形となっていた。

 この日の試合後、篠田監督は「彼らが天皇杯を獲って、この出場権を得たこと、そして昨年グループリーグを突破したこと、選手たちで勝ち取ったことだと思う」と近年の歩みを前向きに振り返りつつも、クラブの難しい現状にも踏み込みながら「前進するために足りない部分、クラブとしても足りない部分は明確に見えたし、チームとしてもJ1に常にいるチームでないといけない。そういった部分ではクラブとして、選手として、私自身、指導者として本当に多くのものを学ばせていただいた」と複雑な心境を吐露した。

 また国立開催での集客に尽力した関係者に対して「何よりもサポーターの力があった。こんなにたくさんの声援を受けた。ホームの国立競技場で使わせてもらったこと、クラブとしてパワーを使って、いろんなところにお願いしに行ったことに感謝したい」と感謝を述べた際にも、「小瀬、山梨のほうで試合をできなかったという条件があった。山梨の子どもたちの前で試合を見せられたらもっと良かったかもしれない」と山梨開催に至らなかったことへの無念をにじませていた。

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