[船橋招待]「志願の副審」「1人でのボトル回収」「ボールパーソンへの声掛け」に滲む圧倒的な人間性。熊本U-18GK宮本哲宏はピッチ内外でチームを真摯に牽引する
ゲキサカ / 2024年3月31日 20時31分
思い出すのは昨夏のクラブユース選手権の一コマ。真剣勝負のゴールマウスに立っていた宮本は、小学生ぐらいのボールパーソンがピッチの外に出たボールを返してくれるたびに、1回1回丁寧に「ありがとう!」と声を掛けていたのだ。高校生でこの人間性を備えているのだから、恐れ入ると言うほかにない。
既にトップチームの練習にも参加しているが、大先輩からもらった言葉が強く印象に残っているという。「練習の時に遠慮というか、言われたことをやるだけになって自分を出せていない感じがあったんですけど、途中で佐藤優也さんに『自分で考えて動け』と言われたんです」。
「その時は『はい!』としか言えなかったんですけど、トップの人たちの中に入らせてもらっている中で、それでは呼んでもらった意味がないと思いますし、トップの良いところを吸収して、ユースに還元するのも自分の役目だと思っているので、『もっと自分を出していく』という意味ではそこで気付かされたというか、ドキッとしました」。
「GK練習に参加しても迫力が凄かったですし、ロアッソのキーパーって凄く味方に求めるんですよ。嫌われ役にもなれるという感じで、味方に強い要求をする部分は今の自分の課題でもあるので、そういうところは変えたいなと感じました」。3月の頭には3日連続で練習に参加してトップの環境で揉まれ、自分の中での基準も着実に引き上げている。
だからこそ、アカデミー最後の1年で残したいのは明確な結果だ。「プリンスリーグは1つ1つの試合が負けられない戦いですし、後輩たちに来年はプレミアでやってもらいたいので、12月にプレミアの参入戦で勝って、最後に全員で笑って終われたらなと思っています」。
熊本U-18を最後方から力強く支える、背番号1の護り人。宮本哲宏が携えているサッカーに対する真摯な姿勢は、自身と周囲の日常を正せるパーソナリティは、間違いなくこのグループを自分たちの望んだ方向へと導いていくはずだ。
(取材・文 土屋雅史)
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