境遇の異なる2人のOB指導者によって変化。四国準Vの済美は「全国でもできる限り勝ちたい」
ゲキサカ / 2024年6月18日 21時1分
昨年までは渡邊監督一人でAチームを見ていたが、今年から名参謀も加わった。チームOBで大阪体育大卒業後、8年間に渡って青森山田高で指導してきた松本晃コーチだ。渡邊監督は「青森山田で8年やってきて、勝ち方を一番近く見ているので、真似すれば良い」と全幅の信頼を寄せ、試合でも頻繁にアドバイスを求めている。
大きな変化が見られるのはトレーニングの質だ。渡邊監督はこう笑う。「僕は練習で剥がすことなど攻撃の部分を植え付けてきた。目の前の選手を剥がせたら、僕は『良いぞ!』となるけど、松本先生からしたら『守備が甘いから上手く行っただけだ』となる。『良いぞ!』と僕が言っても、横からピピピピ!と笛が鳴って、練習が止まり、指摘が入る。僕自身『ああ、確かに!』と思わされることが多い。そうしたニュアンスが入ってきているから、今のうちは凄く良くなっている」。
選手自身も確かな変化を感じている。インターハイ予選はチームが目指す“相手を見るサッカー”ができなかった。相手の土俵に持ち込まれ、これまで不慣れだった競り合いの機会も多かったが、それでも粘り強くトーナメントを勝ち抜いた。
「自分たちがしたいサッカーはできなかったけど、蹴り合うサッカーでもやり合えていた」と隅田は語り、「松本晃先生にフォームから叩き込まれたので、前に比べてヘディングが強くなった。強度も凄く言われる部分。練習中の声もそうですし、みんながやらなければいけない雰囲気を全員で作れているのが一番大きい。練習でのプレッシャーが全く変わりました」と続けた。
今の済美は渡邊監督が作ってきたサッカー選手としての土台の上に、松本コーチが建物を作っている段階と言えるかもしれない。境遇は違うOBの2人によって作られる済美は、着実に選手、チームとして成長を続けて久しぶりの全国大会に挑む。「全国でもできる限り勝ちたい。1番は子どもたちに色んな物を経験させて、冬に向けての土台作りをしたい」。渡邊監督の言葉通り、四国大会に続き、成長するための財産を再び手にするつもりだ。
J2で301試合出場の元Jリーガー、渡邊一仁監督が済美の指揮を執る
(取材・文 森田将義)
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