後半、「最後の局面でやらせない」を全員で表現。大宮U18が昌平に追いつき、勝ち点1奪取
ゲキサカ / 2024年6月24日 20時49分
なかなかチャンスの数を増やせなかったが、昌平がペースダウンした時間帯もあったことで1点差を維持。すると、後半は10番MF菊浪涼生(3年)を軸としたビルドアップや際での粘り強さ、運動量が向上し、巻き返す。
大宮U18は前節(16日)の鹿島ユース戦を0-4で敗戦。敗因を見つめ直し、走る、球際、切り替えで上回ることを目指してきたが、前半は発揮できなかった。大西は「そこをやらないと、ほんとに今後やっていく中で多分勝てないし、『もっとやんないと、3年生意地見せないと、このまま終わっちゃうよ』っていうことを言われたんで、 3年生も気合入ったし、それを見てる1、2年生も多分気合入ってプレーできた」と振り返る。丹野友輔監督に指摘されての変化だったが、相手を見ながらのポジショニングやビルドアップを含めて、前半以上の戦いぶりで勝ち点1をもぎ取った。
大宮U18の守りを支えたCB山中大智
後半は3分、7分、9分と攻撃のキーマンMF丹野豊芽(3年)が立て続けに左サイドを突破。昌平もU-17日本高校選抜GK佐々木智太郎(3年)が決定的なシュートを阻止し、また中松とCB鈴木翔(3年)を中心に崩れることなく試合を進めていた。
だが、リードしていることが悪影響を及ぼしたか、昌平は相手のペースに合わせてしまう。元日本代表FWの玉田圭司監督は「それをしっかりとチームでコントロールするっていうことがまだできないし、やっぱり相手が来た時に自分たちが押し返すっていう力がない、っていうか、その意識がない」と厳しく指摘する。
そして、「いつか入るだろう、誰かがやってくるだろうっていう。人任せな部分がちょっとある。(選手は)『そうじゃないです』って多分言うんだろうけど、オレらから見たら物足りない。誰かが引っ張るとか、誰かのワンプレーでリズムを変えるとかっていうのは、まだまだちょっと足りない。(また)『1-0で守り切るんだ』じゃなくて、『2点目、3点目を取るんだ』『そのための守備をする』っていう意識付けをもっとしていかないと。そういう戦い方を目指したい」と続けた。
昌平の注目10番MF山口豪太がボールキープ
後半18分、昌平は岩谷が左サイドを抜け出すが、ラストパスは大宮U18DF斉藤が身体を張って阻止。23分に三浦の放ったボレーシュートも大宮U18DF大西がブロックした。際の部分で踏ん張る大宮U18は33分、右サイドから攻撃。ボールを失うも、その勢いで相手にプレッシャーを掛ける。すると、昌平DF、GKの連係が乱れてオウンゴール。丹野監督が「後半は少しずつ、少しずつですけど、自分たちがボール持てるようにはなりましたし、普段やってないポジションの選手がやったり、難しい部分はある中で、選手は凄く良くやってくれたかなって個人的には思います」という戦いで1-1に追いついた。
後半33分、大宮U18が同点に追いついた
昌平はすぐにギアを上げて勝ち越し点を狙う。大谷が個人技で違いを生み出して前進。山口と鄭のコンビで右サイドを攻略するなどゴール前のシーンを増やして見せる。そして、上原や交代出場MF甲斐田裕大(3年)が決定的な一撃。だが、大宮は初先発の左SB茂木がシュートを身体に当てたほか、枠へのシュート、クロスをGK清水が対応して得点を許さない。
好守で大宮U18を支えたGK清水飛来
逆に速攻やセットプレーから勝ち越しのチャンス。だが、相手DF中松にブロックされるなど決め切ることができない。昌平は玉田監督が「波はあるけれど、頑張っている選手が昨日のS1(埼玉県1部リーグ)でもそうだし、結果を出してくれてるし、違いを見せてくれる。(トレーニングから)意欲的にやってくれている」と評すように各選手が意欲を示し、出番を獲得。この日も終盤に投入されたFW松本レイ(3年)やDF佐藤公輝(3年)が個性を表現したが、勝ち越し点と勝ち点3を奪うことはできなかった。
試合終盤、昌平FW松本レイのシュートは大宮U18DFが触ってCKにシュートブロックした左SB茂木祐弥が大宮U18のチームメートから讃えられる
一方の大宮U18は、執念の勝ち点1獲得。「最後の局面でやらせない」ことを共有し、ポジション練習でも徹底してきた成果を発揮した。丹野監督は「最後、ゴール割れちゃうか割れないかで大きく結果が変わってくるんで、そこは凄く求めてますし、走力のところ、切り替えのところ、球際のところ、これはまだ足りてないところはあるんですけど、徐々に徐々にトレーニングからも意識させてきました。(前節の反省を活かし、)今週はそこをしっかりやっていこうっていうところで、前半はあまり見られなかったですけど、後半はそういう部分が見れて良かったかなと思います」と評価していた。第9節を終えて昌平は暫定5位で大宮U18は同10位。前向きな部分があった一方、自分たちの力で流れを変えることなど互いに課題も感じる90分間となった。次節までの1週間でまた改善し、勝利と成長を目指す。
(取材・文 吉田太郎)
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