[MOM4758]川崎F U-18MF楠田遥希(2年)_大一番で口を衝いた「無意識の檄」。進境著しい新米センターバックが好守備で勝利に貢献!
ゲキサカ / 2024年7月3日 7時35分
終盤にはセンターバックに約1年ぶりの公式戦復帰となったDF山中大輝(3年)が入ったことで、楠田は本職のボランチに入ったものの、セットプレーの流れから1点を返されると、そこからは青森山田が繰り出す怒涛のロングスロー攻勢にさらされ続ける。
経験も豊富なDF柴田翔太郎(3年)はみんなで耐えていた時間帯で、あることに気付いたという。「最後の方の時間で遥希が『やるぞ!』と言っていたんです。『大丈夫!大丈夫!やれよ!やれよ!』と言っていて、いつもはそんなことは言わないんですけど、それが見られたので『ああ、今日は勝てるな』と思いました」。
本人はあまりよく覚えていないという。「『絶対にここは落としたくないな』という試合だったので、自然とそういうふうに声が出たのかもしれないです。ここで勝ち点3を絶対に獲って、流経との差を詰めたかったですし、連勝して良いチーム状態でクラブユース(選手権)に入りたいというのもありましたね」。勝利への欲求が、無意識の檄という形で口を衝いたということだろうか。
アディショナルタイムも5分を過ぎると、ようやく試合終了のホイッスルが聞こえてくる。「最後はやっと終わったなと。もう“ロングスロー祭り”みたいになっていましたし、勝てて終わったのでホッとしました」。スタメンフル出場を果たし、守備の安定を司った楠田の表情にも、ようやく笑顔の灯がともった。
そのコンバートはいわゆる“チーム事情”だった。山中は昨夏に負ったケガの影響で長期離脱中。キャプテンのDF土屋櫂大(3年)も代表活動や負傷で不在の時間が続いた中、ボランチを本職としている楠田にセンターバックとして白羽の矢が立つ。
「時々センターバックの選手がいなかったらやるみたいな感じでしたし、中学校の時もたまにやるぐらいで、基本はボランチをやってきました」。後ろに控えるのはゴールキーパーだけ。失点に直結するようなポジションだけに、不安は小さくなかったが、任されたからにはもうやるしかない。
「まずは『シンプルにやる』ということを意識して、あとはまだ足りないんですけど、後ろからコーチングしたりすることは、ボランチの時よりももっと意識してやるようにしていました」。手探りで始めたセンターバック。それでもスタメンで起用された最初の3試合で3連勝を飾ったことで、少しずつ立ち姿にも自信が滲み始めていく。
「空中戦はもともと得意ではなかったんですけど、センターバックをやることで練習する回数も増えて、少しずつヘディングも良くなってきましたし、ゴール前の守備でも足を合わせたりできるようになってきて、そういうところはボランチだけしかやっていなかった時と比べたら、向上してきたのかなと思っています」。プレミアの舞台で経験を積み重ねていくことで、本人も新たなポジションで成長している実感を掴みつつあるようだ。
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