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名古屋vs浦和のVAR機材トラブルはモニター電源が原因…JFA審判委が経緯と今後の運用方針を説明

ゲキサカ / 2024年7月10日 19時56分

▽後半10分
・レビュー用モニターが復活。ベンチに説明して通常のVAR運用を再開。場内ビジョンでも再開を報告した。

 佐藤マネジャーによると、今回のトラブルはレビュー用モニターの電源が落ちていたことが原因。コミュニケーションシステムもレビュー用モニターと同じ電源を使用しているため、同システムを通じたVARルームとピッチの交信もできなくなったという。バックアップ用のモニターも用意しているが、その電源も落ちていた。一方、ピッチ脇のモニターを使用しないVARオンリーレビューは問題なく行える環境だったため、後半6分のオフサイドチェックが行われたようだ。

 なお、機材トラブルの原因については審判委員会の管轄ではないため、請け負っているテクノロジープロバイダーが検証するという。佐藤マネジャーは「我々がどうだこうだというところではない」と話し、テクノロジープロバイダーやスタジアム側の調査が進んでいることを明かした。

 もっとも今後も同様のトラブルが発生した場合に備え、審判委員会でも運用方針を整理。ハンドやPK相当のファールなどオンフィールドレビューを行うべき事象が起きた際、VARの介入を行わないのではなく、通常時とは異なるVARオンリーレビューによって引き続き介入する運用を明確化した。

 なお、同様のトラブルの際にはVARオペレーションルーム内のモニターは作動していること、またVARと主審はトランシーバーを用いて交信できることから、映像を見ているVARが主審に対して細かく状況を説明し、その説明をもとに主審がPKやレッドカードといった最終判定を下すという。混乱を避けるため、「少なくともキャプテンや監督に事情をきっちり説明してジャッジをする」(佐藤マネジャー)ことを徹底する模様だ。

 佐藤マネジャーはこうしたトラブル時の運用について「プロトコル違反ではない」と強調。「与えられた環境でベストを尽くす」とした。実際、2018-19シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)のシャルケ対マンチェスター・シティで同様のトラブルが発生し、主審は映像を見ずにノーファウルからハンドの反則でPKに判定を変更したケースもあった。

 佐藤マネジャーは今回の緊急対応に理解を示した名古屋と浦和に感謝した上で、「なかなか起こり得ない」事案のなか「VARオンリーレビューの対象事象のみ介入可」とした審判団の判断にも一定の理解を示した。もっとも、今後は異なる運用法に一本化するため、「すぐまた週末に起こるかもしれない」とJリーグ担当審判員に対応法を伝えたという。

 また、VARシステムのすべてが使用不可ではない同様のトラブルでは、今後「VARは適用できません」と場内ビジョンなどに表示することはしない方針を決定。誤解が生じないようにするため、トラブル内容を細かく示す画像の準備も行わないという。

(取材・文 加藤直岐)
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