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対峙した旧友の姿はピッチとテクニカルエリアに。柏GK佐々木雅士は特別な一戦で自身にとって約2年ぶりの公式戦勝利を掴み取る!

ゲキサカ / 2024年7月11日 12時50分

 とりわけ意識していたわけではないが、ふと相手のベンチ方向を見やると、戸田がテクニカルエリアに立っている姿が目に入ってくる。「たまにそっちの方を見たらイブ(戸田コーチ)が立っていて、それも不思議な感じでしたね」。

 実は佐々木がウォーミングアップから引き揚げてくる際に、2人はやはり軽いハグをしたあと、少しだけ会話を交わしていた。「イブに『汗、かきすぎ』って言われました(笑)。それで『お互い頑張ろう!』って。同い年にあんな指導者がいるなんて、それも不思議な感じです」。やはり彼らにとって、この試合が特別な一戦だったことは間違いない。

 さらに佐々木にはどうしても勝ちたい理由があった。今シーズン出場したリーグ戦の3試合は1分け2敗と未勝利。昨シーズンもリーグ戦とルヴァンカップを合わせて、出場した6試合で白星は手にできず、最後に公式戦で勝ったのは2022年8月6日に開催されたJ1第24節の京都サンガF.C.戦までさかのぼる。そんな状況で巡ってきたスタメンの機会。勝利への渇望感が小さいはずがないだろう。

 決して楽な展開だったわけではない。むしろボールを持って、スムーズな攻撃を繰り返していたのは筑波大だ。ただ、ハイボールを確実に処理しつつ、ビルドアップにも正確に関わっていく佐々木の安定感は、120分間を通じて際立っていた。

「自分たちの時間もありましたけど、相手には内野(航太郎)選手を含めて一発を持っている選手が多かったので、そこをやらせないということはディフェンスラインの選手と密にコミュニケーションを取っていましたし、セットプレーから1失点してしまいましたけど、それ以外は良い対応ができていたんじゃないかなと思います」(佐々木)。

 延長後半のアディショナルタイムも過ぎ去り、ようやくタイムアップのホイッスルが聞こえる。「延長の前半に(細谷)真大が決めて、『守り切らないといけない』と思っていたので、いつもよりは時間は長く感じたかなと思います。自分が出た試合は一昨年の8月から勝てていなかったので、そういう意味ではリーグ戦とか天皇杯とか関係なく、勝ちという結果を得られたのは、僕にとって凄く嬉しいです」。

 およそ2年ぶりにもぎ取った、レイソルの一員としての公式戦勝利。その相手に田村と戸田という、気の置けない間柄の友人がいたというのも、何とも不思議な巡り合わせだったというほかにない。


 現在のレイソルではアカデミーの先輩でもある松本健太が、正守護神として好パフォーマンスを続けている。脳震盪の影響でしばらく欠場していた期間は、守田達弥と佐々木がスタメン起用されていたが、そのリーグ戦5試合でチームは勝利を掴めなかった一方で、松本が復帰したここ2試合は連勝を飾っており、改めてその存在感を示している。

 佐々木はここからの決意を問われると、言葉に力をこめる。「まずはこのレイソルで試合に出ることがすべてだと思うので、マツケンくんがいますけど、良い競争をしながら、自分の良い部分をアピールし続けて、試合に出続けられるように頑張りたいなと思っています」。

 プロ4年目。久々にトレードマークの弾けるような笑顔を見せた佐々木は、この22歳の夏を飛躍の時間にするために、これからも日立台のグラウンドでハイレベルなゴールキーパー陣と、お互いを高め合っていくはずだ。



(取材・文 土屋雅史)
●第104回天皇杯特集

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