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[MOM4778]川崎F U-18FW香取武(3年)_「ゴールの仕方を忘れてしまっている自分が情けなくて……」 2か月近く得点のなかった悩めるストライカーが重要な決戦で鮮やかな復活弾!

ゲキサカ / 2024年7月26日 12時29分

 後半7分。ピッチサイドに9番の姿が現れる。まだスコアは動いていない。最低でも2点は必要な状況。ストライカーにとってみれば、最高のシチュエーションだ。「後半の途中までは0-0だったので、正直みんなも絶望を感じ始めていたかもしれないですけど、自分が入って『絶対に流れを変えてやる』という気持ちでした」。気合をみなぎらせて、ピッチへと駆け出していく。

 18分。右サイドからDF柴田翔太郎(3年)が上げたクロスに、懸命に合わせたボレーは枠を外れる。24分にDF林駿佑(2年)が、25分にMF平塚隼人(2年)が続けてゴールを奪ったものの、他会場の結果を受けて、チームはもう1点が必要な状況に陥る。31分。MF八田秀斗(3年)のクロスから、ニアに飛び込んだヘディングもゴール右へ逸れたが、諦めない。「次はオレが決める」と信じて、ボールを叩き込むべき場所を睨み付ける。

 32分。MF楠田遥希(2年)のパスからFW恩田裕太郎(2年)が左サイドを抜け出した時に、もう道筋は見えていた。「前に恩田がハッキリとタ―ゲットという形でいて、その下に付けば相手のディフェンスラインが絶対に下がった状態になるので、自分が決めるイメージはできていました」。必死に呼び込んだボールが、足元に入ってくる。

 右足でトラップ。右足で持ち出して、左足でズドン。右スミに打ち込んだボールが、ゴールネットを激しく揺らす。「アレは自然に出た感じです。今日は得点しかいらなかったので」。その場でこぶしを固め、下を向き、噛み締めるように叫ぶ。それはようやく獲物を捕らえた獰猛なストライカーが見せた、魂の咆哮だった。

「僕はもう何点必要かとかは正直考えられていなかったですし、がむしゃらにやっていたので、勝って気付いたという感じです」。さらに恩田も4点目を奪った川崎F U-18は得失点差でヴィッセル神戸U-18を上回って、グループステージ突破を決める。公式戦で数えれば実に74日ぶりに挙げた香取の貴重なゴールが、チームの窮地を鮮やかに救ってみせた。


 長橋康弘監督は香取について、こう言及している「彼はスタメンを外れてしまった時でも、絶対に下を向かずにやるんですよね。そういう子はやっぱりやるんだなと思いますし、私も『武ならやってくれる』と思って交代できるんですよ。あのゴールは彼の努力だと思います」。指揮官も信じていた。ストライカーの意地を。9番の底力を。

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