[MOM4790]国見DF野尻慎之助(3年)_“マジで”持っている「進撃の右サイドバック」が弾丸ミドルで劇的決勝弾!
ゲキサカ / 2024年7月29日 7時5分
ペナルティエリアの外から打ち切ったミドルは、一切迷いのない軌道でゴールネットを撃ち抜く。土壇場も土壇場で叩き出した決勝点。ピッチサイドへと全速力で駆け出した野尻を、興奮気味にチームメイトたちが出迎える。ひとしきり喜んだ後にカメラへ向かって取ったのは、いわゆる『進撃ポーズ』。右サイドバックが披露した渾身の一振りが、国見の初戦突破を堂々と手繰り寄せた。
「練習でも決めていて、ああいうのは結構得意と言えば得意ですね」。そう笑ったスコアラーの言葉に、キャプテンのGK松本優星(3年)も同調する。「後ろから見ていて鳥肌が立ちました。結構ああいうのを持っているんですけど、ビックリしましたね。良いコースに行ったので、後ろから見ていても気持ちが良かったです」。
チームを率いる木藤健太監督も、やはりまったくの予想外ではなかったことを、笑顔で明かしてくれた。「同じサイドバックでも、アレは僕レベルでは打てないシュートです(笑)。たまにしっかりミートしたキックがバチンと当たって、ああいうふうに入るゴールは何回か練習の時に見たこともあったので、そういう意味では大事な勝敗を左右する中で、あのゴールが生まれたのは、彼の日頃の積み重ねだと思います。ただ、ビックリしました」。みんなビックリはしながらも、どこかで野尻が秘めた“一発”に期待していたようだ。
中学時代は大分の名門クラブ、カティオーラフットボールクラブでプレー。「もともとは県内の高校に行く予定だったんですけど、国見から声が掛かって、これから強くなるという話も聞いていましたし、環境的にもサッカーに集中できるなと、ここで頑張って本気でプロを目指したいなと思って、国見に来ました」と伝統校の門を叩いた。
2年生だった昨年度のインターハイでは、20人の登録メンバー入りを果たし、1回戦と3回戦には終盤に途中出場。準決勝でもチームメイトの負傷退場を受け、開始5分からピッチへと登場したものの、チームはその試合で敗退。自身のパフォーマンスにも納得は行っていなかった。
「メンバーには入っていましたけど、スタメンではなかったですし、正直最後の5分の出場とかが多かった中で、準決勝は最初の方にチームメイトのケガがあって、すぐ試合に出たので、急遽サイドハーフをやっていたんですけど、そこでも思ったより自分が出せなくて、悔しい大会でした」。
だからこそ、高校最後のインターハイには確かな決意を持って挑んでいる。「自分たちはインターハイも優勝を狙っているので、一戦一戦自分たちのサッカーをやって、絶対に勝って、最高の夏にしたいです」。すがすがしい笑顔に纏ってきた手応えが透けて見える。
最後に聞いてみた。「また同じようなシチュエーションが来たら、シュートを打ちますか?」。すぐに答えが返ってくる。「自信が付いたので、打ちます」。
ポジティブな自信を携え始めた『進撃の右サイドバック』。“マジで”持っている野尻慎之助の前に再びボールがこぼれたら、相手チームのゴールキーパーは、その強烈過ぎるシュートにご注意を。
(取材・文 土屋雅史)
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