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[MOM4807]G大阪ユースMF山本天翔(2年)_土壇場で信じ抜いた自分の左足。日本一を手繰り寄せる決勝FKで1年前に味わった悔しさのリベンジ完遂!

ゲキサカ / 2024年8月1日 18時30分

「GKの琉偉が上がってきていたので、その頭を狙って蹴ったんですけど、そこにうまく当たらなかったのに、幹太が機転を利かせてファーで決めてくれたので、あれは幹太のおかげかなと思います」(山本)。2-2。スコアは振り出しに引き戻される。

 40+5分。FW天野悠斗(3年)がドリブルで仕掛け、G大阪ユースはFKを獲得。すぐさまボールを拾った山本は、スポットに立つ。目の前のゴール裏からは青黒のサポーターが歌うチャントが降り注ぐ。残された時間を考えても、限りなくラストチャンス。極限の状況下で、22番の集中力は研ぎ澄まされていく。


 1年前。舞台はこの日と同じ西が丘。日本一の歓喜に沸くチームメイトを眺めつつ、33番を背負った15歳は複雑な表情を浮かべていた。3-3という打ち合いの末に、PK戦を制した一戦。ベンチに入っていた5人の1年生の中で、ただ1人だけ出場機会が回ってこなかったのが山本だったのだ。

「去年の決勝はベンチから見ていたんですけど、同じ1年生の當野泰生や武井遼太朗がスーパーシュートを決めて、『凄いな』という気持ちと、本当に悔しい気持ちがありましたね」。もうあんな想いはしたくない。次は必ず自分が試合に出て、チームを勝利に導いてやる。言いようのない悔しさを自身のエネルギーに変換して、この1年間を過ごしてきた。

 不思議と気分は落ち着いていた。ひたすら練習してきた日常を信じて、この日を待ち続けてきた想いを乗せて、左足を振り抜いた瞬間、確信した。ボールがゴールネットを揺らすと、山本はメインスタンドに向かって走り出す。





「スタンドでお父さんとお母さんが見ていたんですけど、試合前からどこにおるかは聞いていたので、メインスタンドの方に向かっていきました。たぶん2人とも『よくやった!』みたいな、ガッツポーズをしていたと思います(笑)」。誰よりも自分を支えてきてくれた両親の前で沈めた、日本一を手繰り寄せる決勝ゴール。1年間重ねてきた努力は、最高の形で報われた。

「去年のあの気持ちがなかったら、このFKも絶対に入らなかったと思いますし、ここまで来れていなかったと思うので、ああいう経験というのは、その瞬間はツラいかもしれないですけど、こうやってポジティブに捉えて、どんどん自分の成長に繋げていったら、こういう形で報われたというのが最高ですね」。

 自らの左足で掴んだ全国連覇。ただ、もう山本の視線は次の目標を捉えている。発した言葉が何とも頼もしい。「今は純粋に嬉しい気持ちと、このままで満足してはいけないなという気持ちもありますね。3連覇できるのは僕らだけなので、もう次に向かって行くだけです」。

 青黒の未来は、この男の左足とともにある。チャビ・エルナンデスに憧れる16歳。山本天翔はこれからもあらゆる経験を自身の成長の糧に変えながら、天高くどこまでも翔け上がっていく。



(取材・文 土屋雅史)
●第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)特集

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