昌平が初優勝。玉田圭司監督が5か月前の就任時に掲げ、何よりも喜んだ“選手たちの成長”
ゲキサカ / 2024年8月5日 12時29分
[8.3 総体決勝 神村学園高 2-3 昌平高 Jヴィレッジスタジアム]
優勝の瞬間、両手を高く突き上げた。昌平高(埼玉)が初の全国制覇。元日本代表FWの玉田圭司監督はスタッフたちと肩を組んで喜ぶと、涙で目を潤ませながら教え子たちが歓喜する姿を見つめていた。
「ちょっと年のせいかね、涙脆くなってきているんで(微笑)。嬉しかったですよ、本当に。やっぱり想像はしてましたけど、それが現実になって、自然とその喜びっていうものを爆発してしまいましたね」。表彰式後に選手たちの手で宙を舞い、自身の高校時代に成し遂げられなかった日本一の味をまた噛み締めていた。
J1通算99ゴール、J2通算34ゴール、2006年ワールドカップでブラジル代表からゴールを決めたレフティストライカー。驚きの監督就任発表がされた5か月前、玉田監督は昌平の技術力が「僕は高校の中でも高い方だと思います」と認め、質にフォーカスしていくこと、自身が身につけるまでに時間を要した頭を使いながらサッカーをすること、選手個々が自分の力を出し切る環境を作ってあげることなどを掲げていた。
そして、「もちろん、やるからには日本一を目指しますけれども、色々なことにこだわって、やっぱりお客さんや親御さんが見ていてサッカー楽しいなとか、ここに預けて良かったなと思ってもらえるようなサッカーや『人間の成長』というものは見せたいですね」。補佐役の村松明人ヘッドコーチ(FC LAVIDA監督)らとともに個とチームを育成。人間的に逞しくなった選手たちが、初の全国決勝で観衆を感動させるような戦いをしてのけた。
前半16分に先制されるも、その後主導権を握り返し、前半終了間際にMF山口豪太(2年)の右クロスからMF長璃喜(2年)が同点ゴール。前後半のシュート数は計7本と相手の約半数に留まったものの、好セーブを連発したGK佐々木智太郎(3年)やDF陣の身体を張った守りで勝ち越し点を許さない。
後半29分に相手ロングスローのこぼれ球を押し込まれたが、その2分後に長が勝利への執念を示すようなドリブルシュートを決めて同点に追いつく。そして、後半34分、長の左クロスからエースFW鄭志錫(3年)が決勝ヘッド。就任1年目の玉田監督が、「みんな、信頼している」と繰り返していた選手たちとともに頂点へ駆け上がった。
「決勝はほんとに気持ちが強い方が勝つ。『気持ちが強い方が絶対に勝つことができるし、それは俺たちだ』っていうことを伝えたんで、見事やってくれましたね」。玉田監督は選手たちの成長を何よりも喜んだ。
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