【インタビュー】日本代表10番MF堂安律、名将のもとで深めた“ウイングバック論”「監督のアプローチがすごく良かったんですよね」
ゲキサカ / 2024年8月22日 19時0分
——シリア戦に向けた記者会見では、森保一監督が堂安選手のウイングバック起用の可能性について言及した上で「こんな上手い選手がこんなハードワークするんだということを将来プロや日本代表を目指す少年、少女に見てもらえたら」と話していたのが印象的でした。
「あれは嬉しかったですね。ちゃんと自分が体現しているプレーを見て、評価してくれているんだなと。選手はチームのためにプレーしながらも、『これちゃんと評価してくれてるのかな?見てくれてるのかな?』って思いもどこかにあるんですけど、森保さんは食事会場から、ホテルでの行動からすごく見ている方なので。それを評価してくれるのはすごくありがたいし、特に守備をサボらないという自分の良さがある中で、あの言葉はすごく刺さりました。頑張らないとなと思いましたし、嬉しかったですね」
——昔は当然、アタッカーとしての道を突き詰めていた時期もあったと思いますが、そこからオランダやドイツを経てどのような変化があったのでしょう。
「そこはシュトライヒ監督のアプローチの仕方もありますし、あとはウイングバックじゃないよということで植えつけられたとはいえ、ウイングバックならではのシチュエーションは絶対にあるので、その時は試合後に監督から呼び出されて『こうしてほしい、ああしてほしい』という指示は受けていました。すごく良い人なので、自分も『この人のために、この人が言うなら』という思いで聞いていたし、その関係性がポジティブに働いたと思います」
——もともと1対1の局面での守備は上手く、特に相手から狩る技術が優れていた印象はあるのですが、堂安選手にとっての守備へのこだわりは。
「僕は奪い切る守備が最高の守備だと思っているので、理想はサイドハーフで取りに行って狩り取るというのが好きなんですけど、とはいえウイングバックは抜かれたらピンチになってしまうので、飛び込めないところがあって、そこは一つ自分が悩んだところでした。ウイングだと抜かれてもサイドバックの選手がいるので、一か八かで飛び込んで行けるし、奪えたらビッグチャンスだし、やられてもまだ大丈夫。ただ、いまは抜かれたら終わりという恐怖心はあったんで、そのバランスは考えましたね」
——ゲキサカ読者の中学生や高校生も、ウイングで守備を求められたり、ウイングから守備的なポジションに回るという経験をしている選手もいると思います。すでにトップレベルでそのチャレンジと向き合った堂安選手から、かつての自分も含めた彼らにどのようなことを伝えたいですか。
「今やから言えることは、攻撃と守備を分けて考えている時点でサッカーは分かってないなということですね(笑)。まず攻撃と守備って表裏一体なので、攻撃がいいと守備もよくなります。たとえばこれは細かいサッカーの話になるんですけど、フライブルクって左サイドで守備をハメに行く時は右サイドの選手がめちゃくちゃ中に絞らないといけないんですよ。守備ができない選手はそれをサボりがちなんですよね。どうしても前に残ってしまう。ただ、そこでうちの監督がよく言うのは『左サイドで奪った時に、そこのポジションがゴールに向かう最短の道だよ。サボってるほうがボール来ないよ』ということ。監督は攻撃の選手によく『お前、点取りたくないのか?』って言うんですよ。『正しいポジションにいて守備してれば点も取れるから』『攻撃のための守備だよ。攻撃のためにそこにいなさい』と。自分はその感覚がすごく理解できるし、ウイングバックでもその感覚があるからこそ点が取れてるのかなと思います」
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