指揮官の「新たなチャレンジ」に応えた3年生の奮闘で怒涛のリーグ戦6連勝!浦和ユースはプレミア昇格までの“5試合”を全速力で駆け抜ける!
ゲキサカ / 2024年10月14日 9時2分
「自分のサイドの角に時計があったんですけど、ずっとチラチラ見ても『まだ3分しか経ってない……』みたいな感じで(笑)、ちょっと長かったですけど、途中から入ってきた選手もしっかり試合に入れましたし、『戦い方を全員で共有してやろう』というのは練習でもしっかり話していたので、そこが一体感として出たのかなと思います」(阿部慎太朗)
4分のアディショナルタイムが経過すると、主審の試合終了を告げるホイッスルが聞こえてくる。「この難しい試合で勝ちを持ってこれたのは、3年生の気持ちが見えたり、プレーの質が高かったからで、途中から出た2年生の選手たちも『何としても』と繋いだところは良かったんじゃないかなと思います」(平川監督)。新たな“チャレンジ”の先で手繰り寄せた白星は、浦和ユースにとって勝点3以上の価値を持ってくるような、チームの総合力を証明する結果になったのではないだろうか。
育成年代の指導も2年目。ユースの指揮官に就任してから10か月近い時間が経った今、平川監督の中でも少しずつ選手たちとの関わり方が見えてきているという。
「難しいことだらけですけど、1つは押し付けないということですかね。『オレらはこういうことをやりたい』『オレは監督としてこういうことをやりたい』ではなくて、個々の武器を生かしながら、チームとしてどういう方向性でやるのかというのを示すと、彼らは生き生きしますし、あまり言い過ぎた時には生き生きしないですし(笑)、彼らの特徴を上手く生かしながら、生き生きとプレーできるような方向性を見せないと、縛り付けても何もいいことはないかなというところは感じています」。
「実は分析も彼らにやらせているので、対戦相手がどういうシステムで、どういう守備をしてくる、じゃあ自分たちはどういうふうに戦うかというところを、彼らでミーティングさせています。そこからいろいろ出た意見をこちらでまとめていくんですけど、彼らを見ていて『それでどうだった?』というところは整理しながら、進んでいくイメージですかね。一緒に創り上げているイメージが強いと思います」。
自主性を養いながら、個々のレベルアップを図りつつ、もちろん勝利も追及していく。決して簡単なミッションではないが、指揮官はこの試合でも3年生の力を信じ、2年生にバトンを託し、チーム力の輪をより大きくした上で、結果を引き寄せることに成功している。
「普段は試合に出れていなくて、悔しい想いをしている3年生もいましたけど、今日は全員良かったですし、チーム内で2年生と3年生で競争していけば、もっと良くなっていくと思います」(照内)。エースの発言は間違いなくチームの共通認識。後半戦はこれで怒涛の6連勝。良いサイクルに入った状態で、リーグ戦は桐蔭学園高、東京ヴェルディユース、横浜F・マリノスユースという上位陣と対峙する最後の3試合へと突入していく。
キャプテンの阿部慎太朗が紡いだ言葉が印象深い。「トシ(照内)はトップ昇格するんですけど、他の選手はみんな大学に進学して4年間鍛えることになるので、残り試合をプリンスの“3試合”にするのか、それとも3位までに入って“5試合”にするのかというところで、自分たちの試合の結果でこのエンブレムを付けられる時間も変わってくるという意味で、やっぱり3年生としてはもっと長くプレーしたいとみんなが思っています」。
ここからはすべてがキーゲーム。残された今季の時間で戦うことができるのは、あと“3試合”か、それとも“5試合”か。浦和ユースはチーム全員の力を結集した総力戦で、12月の広島で味わう歓喜まで続いているはずのいばらの道を、みんなで、全速力で、駆け抜ける。
(取材・文 土屋雅史)
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