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春先以上のキレとインテリジェンス。流経大柏の富山内定MF亀田歩夢が変幻自在のドリブルなどで2ゴールを演出

ゲキサカ / 2024年11月4日 9時21分

 プレミアリーグ開幕と同時に彼のドリブル突破は猛威を振るい、無敗を誇った7節まで3ゴール1アシスト、数々のチャンスを作り出すなど一気に注目株に躍り出た。ヴィッセル神戸の練習に参加をし、他にも複数のクラブから熱視線を浴びるなど、まさに『旬の存在』であったが、インターハイ予選を境に相手からドリブルを警戒され、複数マークや1対1に持ち込ませない守備をされるようになったことで歯車が少しずつずれ始めた。

「ドリブルではなくパスを中心にシンプルにプレーすることを考えすぎて、自分の良さが出せなくなっていったんです」。ドリブルを仕掛けようにも相手が飛び込んでこない、さらに自分のところで奪われないように慎重なプレーに走ったことで、春先の躍動が影を潜めるようになった。

 彼の失速と合わせるかのようにチームもインターハイ予選決勝で敗れ、プレミアリーグでもうまく白星を積み上げられない時期が続いた。しかし、彼は自分と向き合い続けた。

「榎本監督に『自分から仕掛けていけ』と言われましたし、自分の中で警戒されるからこそ、ドリブルを磨けるチャンスだと捉えるようになりました。パスに逃げるのではなく、敢えて自分から突っかけていき、相手の足が出てきたタイミングで逆を取る。仕掛ける時も相手の出方によってドリブルで行く部分と、シンプルに叩く部分の判断の質を意識するようになりました」

 アグレッシブなプレー選択と駆け引きの質の向上。フットサル仕込みのテクニックをさらに活用する工夫をしたことで、彼の成長曲線は再び上昇を始めた。第14節の鹿島ユース戦では1ゴール2アシストの活躍で4-3の勝利に導くと、直近の第19節・横浜FCユース戦でも1ゴール1アシストと2-0の勝利に貢献。春先以上のキレとインテリジェンスを身につけて臨んだ今大会、準決勝で見せたプレーはまさにそれを実証するものだった。

「2点目のドリブルはファーストタッチで1人を交わそうとしながら、2枚目のDFの動きを見た時に自分の方に少し食いついてきてくれていたので、そのままもう一度右足アウトサイドで縦に持ち出せば、間を割って2枚とも剥がせると思った。もし食いついて来なかったら、シンプルに味方にパスを出そうと思っていたんです。駆け引きがはまりました」

 前述した通り、卒業後は富山に進む。熱心に誘ってくれた富山に心を動かされた。「富山は環境が凄くいいですし、レベルアップできる環境。僕は上のステージに行ける自信があるからこそ、このスタイルをもっと磨いて、這い上がっていきたいと思っています。まずは選手権出場に向けてチームのために全力を尽くしたいと思います」。自分を信じて最大限の工夫をやり続ける。流経大柏としてのプライドと、ドリブラーとしてのプライドを懸けて、至上命題である選手権出場に向けて亀田は己の牙を研ぎ澄ませる。

(取材・文 安藤隆人)
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