国立初勝利で逆転優勝に望みつないだ町田・黒田監督、終盤5戦大ブレーキに「不安と重圧に押しつぶされる心境があった」
ゲキサカ / 2024年11月9日 17時59分
前日8日には自身の契約更新が発表され、来季も引き続き指揮を執ることが決定した中での一戦。指揮官は「そういうことよりも、みんなが一つになること、一丸になることのほうが優先だった」と振り返りつつも、「ファン・サポーターから来年もよろしく頼むという声があちこちで聞こえたので、そのことは嬉しかったし、私自身も吹っ切れた」とも話し、スタンドからの声援も停滞ムードを打破する要因になっていたようだ。
また黒田監督にとって国立競技場は、青森山田高時代に全国高校サッカー選手権で何度も立ち、歓喜も悔しさも味わった場所。プロの指導者としては5試合目で初の白星となったが、その背景には高校サッカー指導者時代の成功体験もあった。
「ここで触り触りプレーすることはファン・サポーターに対しても申し訳ない。この国立では戦う姿勢を持って、走りに走って、そういう気持ちでやらないと勝利の女神は微笑まないということが今日の戦うためのベースだった。高校時代からここでは何回もプレーさせていただいて、勝利に導いた時にはそういう気持ちで取り組んでいた。そういったあの時代が頭をよぎりながらテクニカルエリアに立たせていただいた」(黒田監督)
そんな聖地での勝利に「本来やってきたサッカー、戦うベースが散漫になったというか、自分たちから作り出したミスから失点するケースがあまりにも多く、改善するには難しい状況もあったが、チームが一つにまとまってくれて、我々の戦うベース、勝利の方程式というものをもう一度見直して歩みを進めてくれたことに今日の勝因がある」と大きな手応えを口にした。
もっとも、シーズンは2試合が残されており、上位勢の結果次第では逆転優勝の可能性もある状況。指揮官は「この戦い方が来年のベースにもなるので、自分たちのサッカーを今一度捉えて、次の試合に向けて改めて確認したい」とも述べ、ここから国際Aマッチウィーク、天皇杯決勝の影響で3週間の中断期間が設けられる中でも、まずは11月30日のホーム最終戦・京都戦に全力を注いでいく。
「決して油断することなく、驕ることなく、最後に野津田でのホーム戦も一つ控えているが、もう一度ファン・サポーターの前で同じ思いができるように、笑顔を見せられるように実直に取り組んでいきたい」(黒田監督)。フォーカスするのは他の上位勢の結果ではなく、驚異の快進撃を演じたJ1昇格1年目におけるホーム最終戦の価値。ひたむきに準備を進め、歴史的シーズンを少しでも良い形で締めくくる構えだ。
(取材・文 竹内達也)
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