手荒い歓喜の輪に包まれた菅原由勢「みんなの愛を感じ取った」苦悩の中でも貫いた“自分への矢印”
ゲキサカ / 2024年11月16日 8時42分
[11.15 W杯最終予選 日本 4-0 インドネシア ジャカルタ]
3-0で迎えた後半16分、日本代表DF菅原由勢(サウサンプトン)はピッチ外で見守るしかなかった4試合の悔しさも背負い、待ちに待ったW杯最終予選デビューを果たした。
すると投入から8分後の後半24分、その苦労に報いるかのような歓喜の瞬間が訪れた。これまではポジション争いのライバル関係にあったMF伊東純也からのパスを受けると、菅原は中を見ながらもペナルティエリア右に切れ込み、最後は右足でニアポスト脇上にズドン。自慢のキックを活かした衝撃的な一発で最終予選初ゴールまで決めてみせた。
周りの状況は鮮明に見えていた。「最初に抜けてペナに入ったところで中を見た時、(味方の)動き出しは見えていたけど、ただクロスを上げる考えよりも、どう相手のマークを外させるタイミングでクロスを上げようかを考えていた。思ったよりアクションに対するリアクションが薄くて、運ぶ中でゴールも近くなったんで、シュートを打とうと最後は自分で決心して打ちました」。ハイスピードな中でもかげりのない状況判断に加え、最後はキャリアを通じて磨き抜いてきた右足の精度で勝負を決めた。
得点直後にはベンチからもピッチからも菅原の周りにチームメートが押し寄せ、4点差のゴールとは思えないほど大きな歓喜の輪ができた。「僕は毎回ゴールが入るたびに行ってるんですけど、ようやくみんなの愛を感じ取った(笑)」昨年3月の第2次森保ジャパン発足以降、右SBの絶対的なレギュラーに定着した菅原だったが、今年1〜2月のアジア杯を境に序列が急低下。3-4-2-1の新システム導入後はさらに苦境は深まり、最終予選では4試合連続で出場機会が訪れなかった中、その苦悩はチームメートの誰もが理解していた。
「さっき監督とも話したけど、サッカー選手としてやっている以上は11人の出場権を争うわけで、そこに対してのライバル心は当然あるわけなんですけど、いまの代表チームはライバル心はあれど、リスペクトの気持ちも持っている。僕の1点をあんなにみんなで喜べることが僕としたら感動的というか、あんなに来てくれると思わなかったんで……」
そんな感傷的な言葉を口にしながらも、ユーモアがあふれ出る菅原。「そのぶん、なんかお尻蹴られたりとか、なんか頭グシャグシャにされたりとか、よくわかんなかったですけど(笑)」と仲間たちからの手荒い祝福に話を向け、報道陣を笑わせつつも、「みんな勝ちたいって思っている中で、出られない選手のことを考えたりとか、みんながみんなチームのことを考えてるんで、素晴らしい雰囲気になっていると思います」と顔をほころばせた。
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