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手荒い歓喜の輪に包まれた菅原由勢「みんなの愛を感じ取った」苦悩の中でも貫いた“自分への矢印”

ゲキサカ / 2024年11月16日 5時31分

 ゴールセレブレーションの際、最も早く菅原のもとに走り寄っていたのは同い年のDF瀬古歩夢(グラスホッパー)だった。瀬古も昨年3月の第2次森保ジャパン発足メンバーに名を連ね、初陣で菅原とともに先発出場を果たしたが、その後は強力なCB陣の中で存在感を示すことができず、昨年9月から1年間にわたって招集外。前回10月シリーズから復帰を果たしたが、出場機会はなく、菅原とは共に励まし合ってきた間柄だった。

「僕も彼と仲がいいので、代表期間中やそれ以外も連絡を取り合うことが多くて、『出たらお前ならやれるから』みたいな独特の関西弁でいつも励ましてくれて(笑)、すごい励みになっていた」。出場機会が訪れない苦悩の中でも明るさは欠かさなかった菅原だが、瀬古に続いて抱きついてきたGK谷晃生(町田)も含め、数々のチームメートの声に支えられていたのだという。

「もちろん歩夢だけじゃなく、試合に出ている(堂安)律くんも(板倉)滉くんも、(南野)拓実くんとかも全員がそうだけど、僕の状況をすごく分かろうとしてくれていて、分かってくれていて、本当に励ましてくれていた。僕も別に落ち込んでいるわけじゃなかったんですけど(笑)、いろんなコミュニケーションを取ってくれてたんで、自分のためにというよりも、そういう選手たちのためにやらなきゃって思えた。素晴らしい瞬間だったなと思います」(菅原)

 そんな菅原だが、試合後のフラッシュインタビューでは「自分に対するいら立ち、他の人に矢印を向けそうになった時もあった」という赤裸々な思いも吐露していた。これまでの代表活動では「自分がこの場所に立った時に出せるものを出していかないといけない」という姿勢を保ち続けていた菅原だが、その陰には少なからず葛藤もあったという。

「僕自身も皆さんと一緒で人間なわけで、全部が全部、人生うまくいくわけではない。もちろんああでもないこうでもないでも言い訳をしたくなることもあるし、誰かに言うわけではないけど思うことはある」

 ただ、その中でも他責的な思いは胸に秘め、自身に矢印を向け続けてきた。

「それを言っても僕のサッカー人生が変わるわけでもないし、パフォーマンスが変わるわけでもない。他に向けそうになったとしても自分自身に矢印を向けて、何が必要なのか、もっといい選手になるためにどうなるべきなのかを常に考えるべきだと思った」

 その姿勢は結果を出した今でも変わらない。

「そういう難しい時期をどう過ごすかで先が見えてくると思うのでで、今日は出場機会を得られて、結果は出たけど、またこれも一つの過程に過ぎない。今日はみんなで喜んで、また中国戦に向けてやっていけたらなと思います」

 大きなアピールを果たした選手でも、ポジションが確約されないのがいまの日本代表。菅原は「スタメンの選手もスタメンじゃない選手も、試合だったり練習だったりで監督にアピールすることが大事だし、スタメンはその上で監督が決断するもの。僕たちはただ出た試合で自分の存在価値を示すだけ」と言い切り、スタジアムを後にした。

(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア最終予選特集

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