柏U-18は戴冠に一歩届かず。川崎F U-18はホームラストゲームを彩る意地の白星でいつものグラウンドに「勝利のバラバラ」を響かせる有終の美!
ゲキサカ / 2024年12月9日 18時43分
「選手たちは『ここで優勝を決められちゃいけない』という気持ちが相当強かったですし、あとはもう今年最後の試合で、3年生はこれで終わりなので、今週は練習から“最後の1週間”というか、『ラストの木曜日だ』『ラストの金曜日だ』と言っていて(笑)、そのような形で準備していたので、気持ちが入ったゲームになるだろうなという感じはしていました」。長橋監督は笑顔を交えながら、今週のチームの様子を思い出す。
一昨年は昇格初年度でいきなりプレミアEAST制覇。昨年も最終節まで優勝争いを繰り広げたことで、いつしか川崎F U-18は『タイトルを獲らなければいけない』という立ち位置に置かれ、選手たちに大きなプレッシャーがのしかかるようになっていたことは間違いない。指揮官はそんな彼らの想いも十分過ぎるぐらい察知していた。
「まさしく『優勝しなきゃいけないチームだ』というプレッシャーは、彼らは相当気にしていました。だから、何か“違う敵”と戦っているという感じがあったので、『そうじゃない』と。『「勝たなきゃいけないんだ」みたいな想いで身体が動かなくなっちゃうような、寂しい負け方はやめようよ』という話はしたことがありました。彼らには彼らの良さがあって、そんな中で自分たちの力が発揮しやすい空気感、雰囲気みたいなところをどうにか作れないかなというところで、そこに掛けた時間が今年は特に多かったかなという気はしますね」(長橋監督)
後半戦も佳境に差し掛かるタイミングで、優勝の可能性は限りなく低くなり、チームのエネルギーがしぼみかけた時期もあったという。だが、選手たちは本来の戻るべき場所へ立ち返る。このアカデミーで積み上げてきた“自分たちらしさ”を、ピッチの上で披露する。それだけが勝利を引き寄せる術だと信じ、もう一度チーム全員で前を向く。
「まず今日の試合前に話していたのは、『今年やってきたことを出そう』と。『フロンターレのサッカーをここで表現しよう』ということで試合に入ったので、相手どうこうではなくて、自分たちのサッカーができたのかなと思います」。土屋はそう言って胸を張る。最後の3試合で飾った3連勝は、改めてこのチームが最後まで成長を止めなかった何よりの証だろう。
長橋監督はこの試合を最後にチームを卒団する3年生たちへ、こうエールを贈る。「クラブユースの決勝が終わった時に、日本代表の岡田(武史)監督が『勝利の神様は細部に宿る』と言っていた言葉を私は思い出したんですけど、あれはまさしくそういうところで負けたゲームだったんです。やっぱり細かいところまでしっかりこだわる日常を過ごすこと、その習慣を持ってゲームに挑むこと、1年を通して強いチームはそこが徹底されていると思うんですよね。それを改めて感じた1年だったので、この先で苦しい想いをした時には、あの経験に立ち返って、うまく行かない時は日常に何か問題があるんじゃないかと振り返ってほしいなと思いますね」。
「ここ1か月ぐらいで終わりが現実味を帯びてきて、やっぱりみんなが大好きで、スタッフが大好きなので、メチャクチャ寂しいです。やっぱりこのメンバーと、このエンブレムの付いたユニフォームを着て試合できるのは今日が最後で、もう練習にも行くことがないと思うと、寂しくなっちゃいますね」。柴田が3年生の想いを代弁する。だからこそ、負けたくなかった。みんなで笑って終わりたかった。全員が揃ってサポーターの前で歌った『勝利のバラバラ』は、きっといつまで経っても、ずっと、ずっと、忘れない。
(取材・文 土屋雅史)
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