明治大はPK戦直前に“PK職人”真鍋隼虎を投入、一足先に巣立つ加藤玄に刺激「もう一回一緒に」
ゲキサカ / 2024年12月23日 21時15分
[12.22 インカレ準々決勝 筑波大0-0(PK4-5)明治大 さくらスタジアム]
PKキッカーとしての投入だった。延長後半もスコアレスで終えてPK戦に突入しようとしている時だった。明治大(関東1)は延長前半13分から途中出場させていたDF内山開翔(1年=帝京長岡高)に代えて、FW真鍋隼虎(3年=名古屋U-18)を投入。栗田大輔監督は「最後まで勝負にこだわっていたので」と練習からもPKが得意だと感じていた真鍋の投入を迷わず決めた。
そして2人目のキッカーを務めた真鍋は、GKが飛んだコースとは逆の左側にしっかりと蹴り込んで成功。チームに更なる勢いをもたらした。「PKは自信を持って蹴ることが大事。特にコツはないけど、練習でも取り組んでいるので、思い切って蹴りました」。試合後も“成功は当たり前”とばかりに自信満々に振り返っていた。
「隼虎!」。PKスポットに向かう途中、直前にPKを成功させて戻ってくるMF加藤玄(3年=名古屋U-18/名古屋内定)とすれ違いざまに手と手を合わせた。2人は3年前、若鯱戦士として日本クラブユースサッカー選手権(U-18)の日本一を経験。同大会で真鍋は得点王、加藤は最優秀選手賞(MVP)を受賞する中心選手だった。
ただ大学では加藤が1年時から主力を張る一方で、真鍋はルーキーイヤーの開幕スタメンこそ勝ち取ったものの、出場を増やしたのは3年生になってから。そして加藤は大学サッカーを1年早く切り上げて、来季より名古屋でプロサッカー選手としてのキャリアを始めることを発表した。
加藤とは連絡を取り合っていたことで、進路の進捗についてはある程度は聞いていた。しかし来季の加入が決まったことは、リリースと同時に知ったという。「あいつのおかげで大学を頑張れってこれた」という大学生活。だからこそ今回の件も、刺激以外に受け取るものがない。「一番は自分も負けてられないなという気持ちになった。もう一回、一緒にやりたいなという思いがあるので、追いつけるように頑張ります」。
この日の筑波大との一戦では、明大は本来ボランチで出場するMF島野怜(3年=仙台育英高)をFWで起用する奇策に出ていた。作戦は成功して勝利に繋がったが、FWを本職とする真鍋に複雑な思いがないわけがない。「島野?そうですね、自分が出られるように頑張りたいと思います」。同級生の活躍に刺激を受ける紫紺のストライカーは、静かに闘志を燃やしていた。
(取材・文 児玉幸洋)
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