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[MOM1035]東洋大MF新井悠太(4年)_苦楽の末にインカレMVP「サッカー人生にゴールはない」

ゲキサカ / 2024年12月28日 18時59分

MF新井悠太(4年/中央)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.28 インカレ決勝 東洋大 1-0 新潟医療福祉大 グリスタ]

 東洋大に初の日本一をもたらした。MF新井悠太(4年=前橋育英高/東京V内定)は前半39分にPKで決勝ゴールを沈めた。「自信はあったのでただ蹴り込むだけ。その前に決定的なシーンを外してしまったので、このPKを取れなかったらもう終わりと思っていた。強い気持ちを持って、強くいった」。今大会初ゴールが優勝決定弾となり、新井は大会MVPに輝いた。

「決める自信はあった」。PKへの自信をのぞかせる新井だが、決める根拠がなかったわけではない。対する新潟医療福祉大GK桃井玲(4年=桐光学園高)は準決勝・明治大戦でも2本セーブをするなど、大学屈指のPKストッパー。明大戦を見たうえで新井は対策を考えた。

「たぶん分析があって、しっかり横に飛んで、いいコースに蹴っても止める感じだった。それをうまく利用して、自分はノーデータだと思ったので、真ん中にちょっと緩めのボールを蹴った」(新井)

 名手の意表を突く形で、新井の右足シュートはゴールネットを揺らした。チームは虎の子の1点を守り続ける。新井は後半アディショナルタイム3分過ぎに途中交代。優勝決定の瞬間はピッチ外で見届けた。「ちょっとそわそわしていた。ホイッスルが鳴った瞬間は実感はなかったけど、本当に優勝したんだと驚きでいっぱい」。初優勝に喜びを爆発させた。

 セレモニーでは個人賞も発表され、新井は大会MVPを受賞。今大会は優勝決定ゴールのみだったため、自身が選出されると思っておらず、発表されると驚いた。「形はどうであれ、1点取れたのはよかった」。時間とともに、MVPの喜びを噛み締めた。

「1点しか取っていないけど、東洋大に対する貢献度はインカレで本当に上がった。ちゃんと決勝の舞台で1点を取って、それを勝ちにつなげられて本当によかった」

 昨年、2025年の東京ヴェルディ加入が内定した。特別指定選手として同シーズンの公式戦で9試合2得点を記録し、J1昇格にも貢献。だが、今シーズンは公式戦5試合で無得点に終わっていた。

 大学最後のインカレでも躍動は控えめ。決勝まで無得点で進んだ。それでも決勝で待望の優勝決定ゴール。その苦楽が新井を強くした。

「今シーズンを戦って、本当にうまくいくことじゃないというのも感じたし、去年の頑張りがあった一方で、今年のプレーは自分としても不甲斐なかった。自分のサッカー人生にゴールはないんだなと改めて再認識できた。いいシーズンだったと思うので、あとは前に進んでいくだけだと思う。MVPももらったし、優勝できたのはうれしい。だけど、ここがゴールじゃない」

 自信はついたが、奢ってはいけないと自らを戒める。「慢心にはならないと、自分でも自制も込めてがんばりたい」。大学MVPという華々しい肩書を得たなかで、あくまで謙虚に、J1の舞台でキャリアをスタートさせていく。

(取材・文 石川祐介)
●第73回全日本大学選手権(インカレ)特集

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