14人目までもつれ込むPK戦は「2度の窮地」を乗り切った札幌大谷に軍配!初出場の寒川は全国1勝にあと一歩届かず
ゲキサカ / 2024年12月30日 11時55分
12人目。札幌大谷のキッカーが左へ蹴り込んだボールは、谷山が横っ飛びでビッグセーブ。ところが、勝利の懸かった寒川のPKは、再びクロスバーを越えていく。14人目。札幌大谷のキッカーはGKの逆を突いて成功。寒川のキッカーが蹴り込んだボールは、左のポストに弾かれる。
「本当に2回負けてもおかしくないタイミングがある中で、ああやって二巡目まで行くというのは、なかなかできない経験をさせてもらったなと思います」(清水監督)「2回も勝つチャンスがあったんですけど、そういったところを逃すと、するりと勝利がすり抜けていくという勝負の怖さも思い知ったなということですね」(岡田監督)
12-11。高校選手権史上3番目に長いPK戦を勝ち切った札幌大谷が、プレミア王者の大津が待つ次のラウンドへと、駒を進める結果となった。
「選手権は簡単じゃないということを感じました」。試合後。札幌大谷のキャプテンを任されている笹は、開口一番このフレーズを口にした。土壇場の土壇場で喫した同点弾。2度までも絶体絶命のピンチに立たされたPK戦。清水監督もまったく同じ言葉で、激闘を振り返る。
「選手権って簡単じゃないなと思いました。試合の内容自体はそんなに悪くなかったと思うんですけど、やっぱり決めるべきところで決めないと、最後にああいうセットプレーで追い付かれるという難しさは、今日の試合を通してまた学びましたし、ゲームの流れ的には九分九厘ウチの負けかなというところでも、こういうことが起きるのが選手権なんだなと」。
次戦で向かい合うのは優勝候補筆頭にも挙げられている難敵の大津。もちろん厳しい試合になることは百も承知。だが、『選手権の難しさ』を強烈に実感する体験を得た彼らが、今度はそれをプレミア覇者に突き付けられないとは、誰にも言い切れないはずだ。
「次の相手は大津さんで、高校年代のチャンピオンですし、対策をしたところでという感じもあるので、相手の分析はしますけど、自分たちの良さをどれだけ出せるかというところを考えて、次の試合に臨もうと思います」(清水監督)
一度地獄を見たものは、強い。もう失うものは何もない。何度窮地に追い込まれても、そのたびに甦ってやる。最強王者と対峙する次の一戦で、札幌大谷がこの日のピッチで得たものの真価が試される。
(取材・文 土屋雅史)
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