前橋育英は土壇場で同点弾献上もPK戦で薄氷の勝利。愛工大名電は勝利目前での敗退も会場を魅了する躍動感を披露
ゲキサカ / 2024年12月31日 22時17分
今シーズンの前橋育英には“嫌な記憶”があった。県7連覇が懸かっていたインターハイ群馬県予選準決勝で、共愛学園高にPK戦で競り負けてまさかの敗退。全国切符を逃してしまう。
「インハイに出られなかったことは、チームにとっても応援してくれている人たちにとっても残念な結果で、個人としても凄く責任を感じました。でも、それをしっかりとバネにしてやっていかないとあの負けが無駄になってしまうので、夏の間は個人としてもチームとしても甘さをもう1回見直す期間になったと思います」(石井)
また同じ轍を踏むわけにはいかない。チームは改めてやるべきことを見つめ直すと、後半戦はプレミアリーグでも勝利を重ね、一時は優勝も視界へ捉えるまでにチーム力も向上。選手権予選では決勝で共愛学園にリベンジを果たし、冬の全国へと勝ち上がってきた。
ただ、この日は先に2点をリードしながら、追い付かれる展開に。「ハーフタイムには監督やコーチから『3点目が大事だぞ』と言われて、なかなか3点目を獲れなかったのに、ちょっと緩みや『大丈夫だろ』という雰囲気が出てしまったと思います」と石井。排除してきたはずの甘さや緩さが顔を覗かせ、PK戦の末に薄氷の勝利。山田監督も「本物じゃないというか、まだまだ課題がいっぱいあるかなと思います」と渋い表情を浮かべていた。
この日のPK戦での勝利は、“嫌な記憶”を払拭するまでには至らなかったが、それでも次のラウンドへと進む権利は勝ち獲った。彼らにはまだ記憶を上書きするチャンスが残っている。「今日の試合には“薬”がいっぱいありますよね。次のチャンスをいただいたというか、3回戦を全力で戦う機会を与えてもらったので、次も頑張りたいと思います」(山田監督)。
愛工大名電に突き付けられた“薬”は、果たして『良薬』になるか、否か。また同じ轍を踏むわけにはいかない。次の試合でこそ、2024年の前橋育英が1年を掛けて積み上げてきたものの真価が試される。
(取材・文 土屋雅史)
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