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痛恨のPK失敗も頼れるチームメイトに救われたキャプテンの涙。前橋育英MF石井陽は仲間と築き上げてきた信頼を胸に最後の1試合まで戦い抜く

ゲキサカ / 2025年1月1日 15時49分

前橋育英高を束ねるキャプテン、MF石井陽(3年)(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.31 選手権2回戦 前橋育英高 2-2 PK6-5 愛工大名電高 駒沢]

「もう本当にホッとしましたし、みんなに迷惑を掛けて申し訳ないなという想いが強かったです」。

 試合後の取材エリア。前橋育英高(群馬)を率いるキャプテンのMF石井陽(3年)は安堵の表情を浮かべながら、こう言葉を紡いだ。

 愛工大名電高(愛知)と対峙した2回戦。前半は9対0というシュート数が示すように、前橋育英が一方的に攻め続ける。それには相手のキャプテン・蒲地陽汰も「前半は『これ、どうやったら勝てるんやろな……』と、ちょっと下向きになったところもありました」と話すほど。7分にMF平林尊琉(2年)が、38分にはMF黒沢佑晟(3年)がゴールを重ね、2-0でハーフタイムに折り返す。

 ただ、後半に入ると少しずつチームに慢心が生まれていく。「ハーフタイムには監督やコーチから『3点目が大事だぞ』と言われて、なかなか3点目を獲れなかったのに、ちょっと緩みや『大丈夫だろ』という雰囲気が出てしまったと思います」と石井。21分にセットプレーから1点を返されると、会場の空気も変化していく。

「あの失点で応援席を含めて会場や相手の士気がグッと上がってしまって、その中で自分たちが受けてしまう部分とか、足が止まってしまう部分が凄く多くなってしまいました」(石井)。最終盤の40+1分には相手に献上したPKをきっちり決められ、2点のアドバンテージを吐き出した前橋育英は、PK戦で次のラウンドへの進出権を争うことになる。


 先攻の前橋育英。1人目を任された石井は、少し嫌な予感があったという。「ドキドキしていましたし、プレッシャーが掛かっていた中で、ちょっと焦ってしまったというか、先に自分がボールをセットしてしまって、相手のキーパーが来るのを待ってしまったので、自分の行きたいタイミングで行けば良かったなと思いました」。左スミを狙ったキックはややコースが甘くなり、後半終了間際に投入された愛工大名電の“PKキーパー”、相原諒にドンピシャのタイミングで弾き出されてしまう。

 痛恨のPK失敗。一瞬だけ両手で顔を覆いながら天を仰いだものの、すぐに気を取り直してGKの藤原優希(3年)の元に向かい、自分の左腕に巻いていたキャプテンマークを、守護神の左腕に巻き直す。

「もう藤原に止めてもらうしかないので、『PK戦はオマエがキャプテンだぞ』という意味で託しました。藤原は練習でもPKのキックを読むのが得意な選手なので、そこに対して自信を持ってやってくれという想いと、『本当に頼む』ということを伝えました」。仲間の列に戻り、ただただ祈りを捧げる。

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