ちょうど1年前に敗れた「1月2日のPK戦」のリベンジ完遂!明秀日立は帝京との激闘を制して全国8強へ勝ち名乗り!
ゲキサカ / 2025年1月2日 23時5分
明秀日立2人目のキックは、大橋も良くさわったものの、掻き出し切れずにゴール。3人目も、4人目も、双方のキッカーは成功。運命の5人目。帝京は永田が冷静にど真ん中へ蹴り込み、成功。明秀日立はキャプテンの竹花が登場。「決めれば勝ちというシチュエーションをみんなが取っておいてくれたな、と思って蹴りました」というキックは、GKの逆を突いてゴールネットを力強く揺らす。
帰ってきたカナリア軍団の奮戦、及ばず。明秀日立がPK戦を粘り強く制して、同校の選手権最高成績に並ぶベスト8進出を手繰り寄せる結果となった。
PK戦の主役となった重松が、「あのキッカーに対しては、絶対にこっちだと思っていました」と口にしたのには理由があった。
試合後の取材エリアで萬場監督は、こんな話を教えてくれた。「実は試合中にPK戦になることを予見して、ベンチ外の選手たちがみんなで分散しながら、帝京の誰がPKを蹴っているか、どっちに蹴っているかを調べていてくれたみたいで、『13番があっちに蹴る』という情報が見つかったというところで、共有してもらったんです」。
もちろんスタッフ陣も相手のスカウティングをしていなかったわけではない。ただ、今シーズンの帝京の試合記録を振り返っても、トーナメントでPK戦を戦った試合は1つもなかった。「私たちが調べている量だと調べ切れなかったところを、試合中のPKも確認してくれて、見つけてくれたんです」(萬場監督)
前述の重松の言葉は、その少し前から始まっていた最後の部分だ。「PKが始まる前に大塚先生(大塚義典GKコーチ)から聞いた情報を参考にしました。それを聞くと全員で勝ち切った勝利だったと思いますし、ベンチ外の選手が動いてくれて分析してくれたので、凄く感謝しています。だから、あのキッカーに対しては、絶対にこっちだと思っていました」。
萬場監督もベンチ外の選手たちへの感謝を隠さない。「アレはバックアップの選手たちのファインプレーだと思っていますし、本当に全員で勝ち獲った勝利だったなというような印象があります」。まさに総力戦で手にしたPK戦での白星。この勝ち方でチームが乗らないはずがない。
それでも、指揮官はしっかりと兜の緒を締め直す。「新しい歴史を作りたいと言って選手権に入ってきている中で、歴史を作るという意味では、こういう場面でも『日本一になりたい』と人の前でも言えるようになってきたなと。ただ、私たちの実力からすると、一戦ずつ本当にコミットして、丁寧に戦っていかなければそこまではたどり着かないという自覚があるので、明日はちゃんとリカバリーして、明後日にどういう狙いを持って戦うかということの目線を合わせて、ここで満足するのは避けたいと思っています」。
ここから先は、今まで以上にチームの総合力が問われるステージ。目指すは国立競技場のピッチと、その先の景色。明秀日立の新しい歴史を築くための冒険は、まだまだ終わらない。
(取材・文 土屋雅史)
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