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矢板中央のU-18日本代表GK藤間広希、後悔募る敗戦も健気に前を向く「ここで下を向いても上達につながらない」

ゲキサカ / 2025年1月2日 23時45分

矢板中央高の守護神を務めたGK藤間広希(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 選手権3回戦 矢板中央高 0-2 上田西高 フクアリ]

 最終ラインを1枚削った3-5-2で攻撃サッカーを標ぼうしてきた矢板中央高(栃木)だが、守備を軽んじているわけではない。自陣ゴール前を厚くしているのが、DF佐藤快風(3年)主将を中央に配した3バック、そしてゴールマウスを守るGK藤間広希(3年=NPO AC等々力出身)だ。

「後ろにいて心強いですし、コーチングも厳しいことを言ってくれてるんで、自分たちの尻を叩いてくれてる存在です」と佐藤は信頼を寄せる。

 1回戦ではプリンスリーグ中国を最多得点(45得点)で制した岡山学芸館高(岡山)を直接FKからの1失点におさえ、2回戦の日章学園戦では超高校級ストライカーのFW高岡伶颯(3年)を1得点におさえて、矢板中央は勝ち上がってきた。

 上田西高(長野)との3回戦では、DF和泉亮哉(3年)のシュートをGK藤間が弾いたところをDF東風谷崇太(3年)に押し込まれてしまい、今大会初めて先制点を許した。「自分のキャッチする判断と、弾く判断が曖昧になっちゃったので申し訳ないです」と悔やまれる失点だった。

 攻撃の起点として見せ場をつくった。上田西のクロスをキャッチしたGK藤間は、前線にフィードを送る。FW朴大温(3年)が競り合って逸らしたところをFW山下魁心(3年)がシュートまで持ち込む。GK藤間からフィニッシュまで10秒あまりでの決定機創出だったが、フィードに関しても「自分の中ではもっといいキックを蹴れるのでそれをフィールドに配給できなかった。自分を出しきれなかった」と悔いが残った。

 GK藤間が「決めきれないところと、スキがあるところ」と指摘したチームの課題が、上田西戦でも露呈した。上田西のGK牧野長太朗(3年)の好セーブに阻まれ、東風谷には2度もライン上でクリアされ、上田西の倍近い17本のシュートを浴びせながらも1点が遠かった。そして、後半21分にはスルッと抜けたロングスローをヘディングで押し込まれ2失点目。決定力不足と集中力の欠如が勝敗を左右してしまった。

 前回の選手権が終わってから今大会まで、藤間にとって「濃い1年」だった。昨年度の選手権ではベンチ入りするも出番はなかったが、大会後に行われたU-17日本高校選抜候補合宿に選出。佐々木智太郎(昌平高/3年=清水内定)、早川ウワブライト(日体大柏高/3年=水戸内定)、ギマラエス・ニコラス(市立船橋高/3年)、松本優星(国見高/3年)といった同学年のGKたちとしのぎを削った。さらに、今年10月にはU-18日本代表としてスペイン遠征へ。試合での出番こそなかったが、世界を舞台に貴重な経験を積んだ。

「やっぱりサッカーが単純に上手いっていうのと、人間性、コミュニケーション能力が高かったり、サッカー以外の部分もレベル高かったです」と、藤間は大きな刺激を受けたという。

 高校サッカーを終えて、次は大学サッカーへと舞台を移す。「ここで下を向いていても上達につながらないので、これを糧に大学サッカーをがんばっていきたい」。駒澤大学に進学予定の逸材GKは、プロを目指して研鑽を積む。

(取材・文 奥山典幸)
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