高校ラストゲームは負傷交代も「最後まで自分らしく終われたのかなと思います」 帝京のキャプテンを務め上げたMF砂押大翔が貫く笑顔の行方
ゲキサカ / 2025年1月3日 20時5分
キャプテンの負傷交代に、チームメイトも奮起する。29分。MF宮本周征(2年)のシュートはGKのファインセーブに遭うも、こぼれ球を押し込んだのは途中出場のFW土屋裕豊(3年)。砂押とは中学時代から同じチームで切磋琢磨してきたストライカーだ。
「自分も『このまま終わってしまうんじゃないか……』と思っていた中で、逆を向いていたので見えていなかったんですけど、歓声が沸き上がった方を見たら、土屋がゴールを決めていたので、一緒にやってきて良かったなと思います」。スコアを振り出しに引き戻すと、試合はそのまま1-1で終了。準々決勝への勝ち上がりを懸けた激闘は、PK戦で決着をつけることになる。
「基本的にPKの順番は選手が自分たちが決めているので、蹴りたい子が堂々と蹴ったという形ですね」。藤倉寛監督がそう明かす。選手たちで決めたPK戦の順番。自ら名乗り出た5人のキッカーのうち、2人目に蹴った土屋のキックだけが、相手のGKにストップされる。対する明秀日立は5人全員が成功。帝京の進撃は3回戦でその行方を阻まれることになった。
「土屋はピッチ内では頼りになる存在ですし、ピッチ外でもムードメーカーとして、常にチームに元気を与えてくれる存在なので、最後はああいう形で終わってしまったんですけど、土屋をキッカーにして良かったなと思います」(砂押)。予選決勝でも、勝利を引き寄せるPKを沈めたのは土屋だった。
彼が外したのなら、仕方がない。みんなが納得していた。でも、悔しい。もうみんなとサッカーできなくなることが、寂しい。PK戦をベンチから見守っていた砂押も、チームメイトたちに声を掛けながら、あふれ出す涙が止まらなかった。
「3年間の集大成で、最後の試合で力を出し切れたので、後悔なく終われたと思います」。ミックスゾーンに現れた砂押の表情には、もう笑顔が戻っていた。
「今日も最後に得点を獲れたというのは、1年間自分たちがやってきたことが現れたと思いますし、都予選から振り返ってみても、先制されるゲームが多かった中で、跳ね返すゲームというのも多くあったのは、自分たちがここまで頑張ってきた証だったのかなと思います」。
「帝京として15年間出られていなかった壁というものを、自分たちの代でこじ開けられたということは本当に誇らしいですし、1年間本当にチームとしても、個人としても、苦しい時期は多くあったんですけど、これまでやってきて良かったなという想いが一番強いですね」。
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