中高の先輩・関川郁万も届かなかった日本一を目指す「流経の5番」の継承者。流通経済大柏DF佐藤夢真が国立のピッチに立つ意味
ゲキサカ / 2025年1月5日 10時20分
2人の言葉からも“センターバックコンビ”として、“ダブルキャプテン”として、築き上げてきた絆の強さが滲む。ファイナルスコアは8-0。準決勝進出を、国立競技場で戦う権利を手繰り寄せ、佐藤の表情にも笑顔が広がった。
「自分はシーズンの最初はBチームだったので、『奈須と一緒に試合に出たいな』とはずっと思っていましたし、そういう時期もあって、今はこういう選手権の大舞台で一緒にプレーできていることは、本当に嬉しいなと思っています」。
本人もそう話しているように、シーズン前半戦の佐藤はプリンスリーグ関東2部を主戦場に置くBチームのキャプテンとして、日々のトレーニングと向き合っていた。プレミアリーグを戦うAチームは開幕から7戦無敗と好調をキープしていたものの、Bチームはインターハイ予選までの6試合でわずかに1勝。チームとしても、個人としても、苦しい時間を強いられる。
「前期は自分としてもずっとキツかったですね。流経はプレミアのチームもプリンスのチームも一緒に練習しているので、プレミアの選手たちは練習でもずっとモチベーションが高かったですし、自分はプリンスでずっと負けていて落ち込んでいる中でも、キャプテンとしてそういうモチベーションの高い選手たちも引っ張っていかないといけないという中で、本当にキツかったなと思います」。
ただ、地道に重ね続けた努力の価値を、榎本雅大監督はしっかりとわかっていた。6月下旬に昌平高(埼玉)と対峙したリーグ戦でスタメンに抜擢された佐藤は、チームの勝利にフル出場で貢献。後半戦はそれまでセンターバックのレギュラーを務めていた富樫の負傷離脱もあって、少しずつ定位置を掴んでいく。
この日の全国大会の準々決勝という晴れ舞台でも、キャプテンマークを巻いて堂々とプレーした佐藤に対し、榎本監督は「存在感が出てきていますね。どっしりしていますし、彼がいるのは大きいです。もう言うことないですよ」と絶賛。奈須も「今日も一緒にしっかり無失点に抑えられたので、そこは良かったかなと思います」と笑顔を見せる。
「やっぱりツラい時でも、目先のことだけではなくて、常に先のことを考えて行動してきました。『今は試合に出れていないから』と考えるのではなくて、『最後の選手権で自分がピッチに立てていればいい』と思って、目の前のやれることを頑張っていたので、それが良かったのかなと思います」。そう言い切れるキャプテンが、チームメイトから信頼されていないはずがない。
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