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最後の最後でAチームへ這い上がってきた努力の守備職人。流経大柏DF幸田爽良に与えられるのは「1つだけのタスクと役割」

ゲキサカ / 2025年1月12日 14時41分

 だが、キャプテンマークを巻くDF奈須琉世(3年)とセンターバックコンビを組む形でプレミアデビューの舞台に放り込まれた幸田は、相手の強力アタッカー陣に真っ向からぶつかる形で躍動。流経大柏は3-0というスコアで、見事に完封勝利を飾る。

「あの試合は『やれるな』という手応えが自分の中でもあって、それが自信に繋がっていったと思います」。最高学年でプレーできる時間も、あと2か月を切ったタイミングでAチームデビューを果たした“ニューカマー”は、チームの中で存在感を強めていく。

 選手権に入っても、2回戦の佐賀東高(佐賀)戦、優勝候補同士の激突となった3回戦の大津高(熊本)戦と、2試合続けて後半から登場し、チームの勝利の瞬間をピッチで味わう。

「自分がずっと磨いてきたのは守備力で、プリンスでは2年生と一緒にやることが多かったんですけど、そこでも他の3年生と一緒にリーダーシップを取ったり、ディフェンスラインの統率もやってきたので、そういうところが今に生きていると思います」。まずやるべきは、守備に安定感をもたらすこと。幸田は過不足なく、自身のタスクを着実にこなし続ける。



「自分の役割は明確で、タスクも1つしかなくて、『とにかく失点しない』ということなので、監督には『自分の良さを最大限出してこい』と言われました」。この日の東海大相模戦で与えられた持ち場は左サイドバック。対面のアタッカーには絶対に自由を与えない。気合も十分に乗っていた。

 後半からは相手が右サイドにスピード豊かなアタッカーを配してきたため、幸田は再三にわたってデュエルを繰り広げる。端から見ればほとんど破綻なく対応していたように見えたが、本人は「自分では全然満足の行くプレー内容ではなかったですし、自分の得意な対人のところの良さも、今日は全然出なかったなという印象です」とのこと。そのプレー内容にはまだまだ納得が行かないようだ。

 試合は1-0で流経大柏が逃げ切り、全国決勝への進出権を手繰り寄せたものの、プレミアよりだいぶ背番号も軽くなった13番は、改めて気を引き締め直す。

「本当は百発百中で、1回も行かれてはいけないというのが自分の役割なので、全然まだまだという感じでしたね。それでも言い訳はできないですし、そこからやられて負けたら自分が出ている意味がないので、もっと強いプライドを持って戦いたいと思います」。

 高校ラストゲームの会場も国立競技場に決まった。「国立に立てるとは信じながらやってきましたけど、実際に立ってみるとこみあげてくるものがありました」と少しだけ笑顔を見せた幸田にとっても、これ以上ないぐらいのシチュエーションが整ったが、それでもやるべきことは微塵も変わらない。

「チームとしては絶対に勝たないといけない相手だと思いますけど、自分に与えられたタスクを、『守備で負けない』『1対1で抜かれない』『ボールを取り切る』ということを、ただ淡々とやっていきたいと思っています」。

 努力を真摯に積み重ね、3年間の最後でAチームの試合に出場するまでに成長してきた、流経大柏の静かに燃える護り人。今できることを、100パーセントでやり切ること。それ以上でも、それ以下でもなく、ひたすらそれを貫く。その相手が前橋育英高であっても、その舞台が国立競技場であっても、幸田爽良は変わらない。



(取材・文 土屋雅史)
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