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注目ドリブラーが味わった5万8347人の重圧…前橋育英7番MF白井誠也「不安な気持ちが強かった」”王手”PK失敗も仲間に感謝の日本一

ゲキサカ / 2025年1月14日 7時36分

前橋育英高MF白井誠也(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.13 選手権決勝 前橋育英高 1-1(PK9-8)流通経済大柏高 国立]

 圧巻の突破力で見る者を魅了し続けた2年生ドリブラーの冬は、3年生への「感謝」で幕を閉じた。「いまはチームのみんなのおかげで勝てて、感謝の気持ちでいっぱい」。前橋育英高MF白井誠也(2年=バディーSC Jrユース)は試合後、無念のPK失敗には悔いを残しつつも、まずは日本一に輝いた栄光の喜びにひたった。

 延長戦含めた110分間を1-1で終えて迎えたPK戦、8人目の白井に順番が回ってきたのは相手のキックをGK藤原優希(3年)が止めた直後、日本一に王手をかけたシチュエーションだった。しかし、試合を重ねるごとに増していく観客の注目を一身に集めていた背番号7にとって、5万8347人が集まった国立の大歓声は想像以上の重圧だった。
味方からの激励を受けながらペナルティスポットに向かう(写真協力『高校サッカー年鑑』)

「自分は小さい頃からPKが苦手で、不安な気持ちが本当に強かったのと、蹴りに行った時に観客の声が聞こえてきて、緊張して力んでしまった」

 国立の大歓声が一身に降り注ぐ中、仲間からの激励を受けてペナルティスポットに向かった白井だったが、思い切って放った右足のキックは無情にも大きくゴールマウスの外へ。掴みかけた日本一の栄光が遠ざかる形となり、背番号7はピッチに崩れ落ちた。
無念のPK失敗に崩れ落ちた(写真協力『高校サッカー年鑑』)
 それでも悲嘆に暮れる2年生を救ったのは頼れる3年生守護神だった。PK失敗後、白井は歩み寄ってきた藤原に「ごめんなさいと言うことしかできなくて、もう一回止めてくれというお願いをしました」といい、藤原は願いどおりに10人目のキックをストップ。他のキッカーも全員が成功し、7年ぶり2度目の日本一を手繰り寄せた。

 試合後、藤原からは「外してくれたおかげで俺の見せ場ができた」と優しい言葉をかけられたといい、「そこでも感謝の気持ちしか伝えられなかった」と苦笑いの白井。取材エリアでも「格好良かったです。藤原さんにはいつも助けてもらっていて、本当に頼りがいのある先輩です」と感謝しきりの様子だった。

 今大会ではジョーカー起用でのドリブル突破と準決勝・東福岡戦(◯3-1)のスーパーゴールで大きな注目を集めてきた白井。しかし、この日は試合中のドリブル突破も相手SBに阻まれる場面が続いたことで「同点の場面での出場だったので、攻撃の場面で貢献しなきゃという気持ちが強すぎて、視野が狭くなる部分もあった」と悔いを残し、日本一の喜びにほろ苦さが入り混じる終幕となった。

 もっとも、この大舞台で注目を浴びることの尊さと、襲いかかる重圧の恐ろしさを2年生で体験できたのは大きな財産となる。「期待される中、注目される中での緊張感やプレッシャーを経験できたので良かった。その中でも固くならずにやるのがこれからの課題」。そう冷静に振り返った白井は「いま国立には少し悔いが残っているので、来年絶対に戻ってきたい」と力強く前を見据えていた。

 そうして目指すはかつてチェルシーなどで活躍した元ベルギー代表FWエデン・アザールのように、たった一人だけで攻撃を完結させられる選手だ。「複数人に囲まれていたり、相手がゴール前の守備を固めていてもドリブルで自分で行き切れる選手に憧れているので、そこをもっともっとやっていきたいと思います」。来年はさらにスケールの大きなドリブラーに成長し、この国立に戻ってくる。

(取材・文 竹内達也)
●第103回全国高校サッカー選手権特集

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