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「自分の子どもが生まれても流経に入れたい」 大ケガから帰ってきた不屈のファイター。流経大柏DF富樫龍暉が感謝のPK成功に滲ませた揺るがぬ「流経愛」

ゲキサカ / 2025年1月14日 22時0分

「2年生のころは試合に出させてもらっていた中で、納得の行かないプレーも多くて、エノさん(榎本監督)にもよく怒られていたんですけど、3年生になってからは自覚も出てきて、自信を持ってやれてきたと思います」。最高学年になった今シーズンの前半戦は、出場停止の1試合を除いてプレミアリーグでフル出場を続け、主力の座をがっちりと確保する。

 状況が暗転したのは、9月にホームで青森山田高(青森)と対戦したプレミアの一戦。後半終盤に相手との接触で倒れ込んだ富樫は、右ヒザに強い痛みを覚え、そのまま交代を余儀なくされる。診断の結果は前十字靭帯損傷。想像を超える重傷だった。

「ケガをした時は涙が出てきましたし、選手権に出られるかも危うくて、『もうここで引退なんじゃないか……』という想いもありましたね」。当時の心中は察して余りあるが、富樫にはどうしても戦線復帰を諦められない理由があった。それは周囲の人たちの献身的なサポートだ。

「トレーナーの方やチームメイト、学校の友だちや先生だったり、監督だったり、いろいろな人が自分をサポートしてくれたんです」。自分がピッチへ帰る日を、みんなが待っている。懸命のリハビリを経て、選手権予選で公式戦出場を果たすと、本大会でもメンバー入り。周囲への感謝を胸に抱き、チームメイトとともに決勝まで駆け上がってきた。


 高校ラストゲームも、思い描いていたようなプレーができたとは言い難い。「ケガは言い訳にできないですね。自分の3年間の努力が足りなかったんだと思いますし、1回1回の自主練で生まれた隙があって、大舞台での強さが見せられなかったかなと思います」。

 だからこそ、必死に戦う。自分を信じてくれた監督のために、いつでも背中を押してくれた家族のために、そして、スタンドから声援を送ってくれる仲間のために、今の自分にできることを100パーセントでやり切るしかない

 もつれ込んだPK戦。流経大柏の3人目のキッカーとして、富樫はゆっくりとペナルティスポットへと歩みを進めていく。「緊張はあまりしなかったです。『日本一を獲りたい!』という3年間の想いが乗っていたので、その気持ちがあのキックに出たのかなと思います」。豪快に蹴り込んだキックがゴールネットを激しく揺らすと、背番号3はスタンドに向けてガッツポーズ。支えてくれた人たちへと贈る感謝のPK成功。18歳の意地が極限の状況で、眩しく輝いた。

 最後は10人目で決着が付いた。悔し涙を流すチームメイトを見ているうちに、みんなで目指してきた目標にあと一歩届かなかった実感が湧いてくる。「最終的に準優勝だったので、不完全燃焼とは言いたくないですけど、少し心残りはありますね」。気付けば富樫もこみ上げてくる涙を、こらえ切れなかった。

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