「自分の子どもが生まれても流経に入れたい」 大ケガから帰ってきた不屈のファイター。流経大柏DF富樫龍暉が感謝のPK成功に滲ませた揺るがぬ「流経愛」

「この大きな舞台を前に、一度はチームを離脱する形になってしまったんですけど、この流経の一員として、最後に全国の決勝という舞台でやれたことは、みんなに感謝しないといけないなと思います」。卒業後は流通経済大へと進学し、改めてプロサッカー選手になる夢を追い掛けることになる。

　最後の最後に突き付けられた結果に対する心残りはあるけれど、最高の仲間と切磋琢磨しながら過ごした3年間の過程に、悔いはない。富樫は少しだけ笑顔を取り戻して、こんなことを話してくれた。

「流経を選んで良かったと思いますし、自分の子どもが生まれても流経に入れたいと思っています。最高のチームメイトに恵まれて、本当に楽しかったです」。

　決して上手いタイプではない。目を引くようなプレーを繰り出すわけでもない。でも、きっとどんな指揮官も、この人をピッチへ送り出したくなるはずだ。魂に響かせる流経大柏の心を、自分のど真ん中に据えたグラディエーター。富樫龍暉の献身と奮闘に、大きな拍手を。



(取材・文　土屋雅史)
●第103回全国高校サッカー選手権特集