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階段から落ちて腰を強打…日に日に痛みが増し歩行困難に【ひどい腰痛も8割治る】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月8日 9時26分

【ひどい腰痛も8割治る】#14

 その患者さんは1年前の夏に自宅の階段から落ちて、腰を打ち付けたという76歳の埼玉在住の女性の方でした。

 しばらくの間は痛みがあったものの我慢できる程度の鈍い痛みで、そのままにしていたとのことです。それが今年の冬になって急に、左下半身にしびれとともに痛みが走り出したため最寄りの整形外科を受診。その日は、湿布が出されただけでした。しかし日が経つにつれ、だんだんと状態が悪化。長く歩いたり速く歩くとしびれや痛みがきつくなり、しゃがむと楽になるという「間欠性跛行」が見られるようになり、思い余って我々のクリニックを受診したのでした。

 まずは前屈をしていただくと、左臀部に痛みが認められることを意味するラセーグ徴候が陽性となりました。

 さらにMRI検査を実施したところ、数カ所で脊柱管狭窄症とすべり症が見られ、脊柱管狭窄症と椎間板変性症との診断結果となりました。

 数カ所の患部に、椎間板の神経に麻酔薬を注入するブロック注射と、特殊なジェルを注射針で入れるセルゲル法を実施。術後では座位、立位、歩行など特に問題なしとの診断となり、もしも体調変化が出た場合はいつでも来院してくれるよう伝えて、その日のうちに帰宅となりました。

 この方の場合、盲腸、そして腎臓移植のドナーとなっての左腎臓の摘出と手術の経験があり、ある程度は手術慣れしていたために、簡単なセルゲル法には大変驚かれ、喜ばれていたのが印象的でした。

 術後1週間後には痛みはかなり消え、歩く速度も速くなったといい、1カ月後には以前はできなかった腰を伸ばすことも、ふくらはぎの圧迫感もなくなったとのことですが、それでも3カ月経ったあたりでも痛みがあるといいます。ただ、問題なく歩けるようになったことは、実感されていました。リハビリテーション専門病院へ紹介をし、しばらく集中してリハビリを受けてもらうことに。

 半年後には30~40分の歩行は可能となり、これまであったように足を引きずることもなくなったといいます。ですが相変わらず時々痛くなることもある。この残存している症状は、椎間板以外の要素、例えば精神的な場合や臓器の状態の影響などさまざまなことが考えられるため、引き続きのリハビリを強く勧めたのでした。

 それから半年後も、やはり痛みが出現し、湿布をすると楽になるといいます。ただ、連続歩行では40分以上もできるようになったとのことです。その代わり足のふくらはぎや付け根(臀部側)が30分~1時間以上は痛くなることもあるといいます。やはり引き続き椎間板以外の症状が残存しているため、リハビリの継続をお願いしたのでした。

 治療したはずなのに、それでも完治しない患者さんがいます。それほど腰痛は複雑な要因が重なっている場合があるのです。入浴後のストレッチや無理のない運動で、血流の促進や筋肉の維持を促し、様子を見ていく予定です。

(ILC国際腰痛クリニック東京・簑輪忠明院長)

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