1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

コロナ後遺症…感染後の長引く症状すべてが後遺症とは限らない 岡山大が画期的な研究成果

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月10日 9時26分

 新型コロナが「5類感染症」に移行してから1年たったが、いまでも多くの人がコロナ後遺症に苦しんでいる。まだ、原因も分からず、治療法も確立していない状況だ。なにか、症状を改善する手掛かりはないのか──。岡山大学が発表した研究成果が注目を集めている。

  ◇  ◇  ◇

 岡山大学が発表した論文の内容は、<コロナ感染後の長引く症状のすべてが後遺症とは限らない>というもの。英国の学術誌「サイエンティフィック・リポート」に掲載された。

 岡山大学病院は、2021年2月から新型コロナ後遺症の専門外来を開設し、これまでに950人を超える患者を診てきた。論文によると、コロナ後遺症外来を受診する患者の中に、一定の割合で、さまざまな他の疾患が隠れていることが分かったという。感染後も長引く症状のすべてが、後遺症であるとは限らないということだ。

 21年2月~23年6月の間に後遺症外来を受診した731人を分析した結果、6.8%にあたる50人から、なんらかの疾患(52疾患)が見つかったという。しかも、全体の2.2%にあたる16人は、コロナ後遺症よりも治療を優先すべき疾患があったそうだ。

 疾患の内訳は、内分泌代謝疾患や血液疾患、呼吸器疾患が最多で、それぞれ8人の患者から見つかった。

■隠れた他の疾患を見つけるのが大切

 研究成果をまとめたひとり、総合内科学の大塚文男教授に話を聞いた。

 ──外来患者(731人)の中には、コロナ後遺症ではなく、単純に他の病気だったというケースもあったのでしょうか。

「今回の対象となったのは、すべてコロナ後遺症と診断している患者さんです。コロナ後遺症を診断するための診察や精密検査の過程で、コロナ後遺症以外の病気が見つかったということです」

 ──隠れていた他の病気を治せば、コロナ後遺症の症状が消える、あるいは軽くなる可能性もありますか。

「コロナ後遺症とは、新型コロナ感染をきっかけに起こる倦怠感や頭痛、睡眠障害、ブレーンフォグ症状などが2~3カ月を超えて持続するものです。症状によっては、新たに見つかった病気を並行して治療することで、後遺症の症状が改善することがあります」

 コロナ後遺症で一番多い症状は倦怠感だという。また、取り除くのが難しいのも、倦怠感だそうだ。そもそも、倦怠感の原因と考えられる疾患も数十個あるという。

 ──新型コロナ感染が、他の病気を引き起こした可能性もありますか。

「コロナ後遺症の起こるメカニズムは完全には解明されていませんが、免疫応答の異常がそのひとつと考えられています。コロナ感染をきっかけに、リウマチ性疾患のような自己免疫の病気が起こった可能性はあると思います」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください