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認知症の親の「便秘」を解消させる具体的な方法は?【介護の不安は解消できる】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月27日 9時26分

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認知症の方は便秘になりやすい

【介護の不安は解消できる】

 高齢になるにつれ悩む人が多いのが「便秘」です。2019年に厚労省が行った国民生活基礎調査によると、65歳以上の女性の72.3%、男性の64.1%に便秘の自覚があるとされています。

 とりわけ認知症の方は、活動量の低下や不規則な食生活、認知症の治療薬の服用によって便秘になりやすい。また、レビー小体型認知症は「αシヌクレイン」と呼ばれるタンパク質が脳の神経細胞に蓄積し発症します。通常これは腸内に存在し、何らかの原因で神経を介して脳内に侵入することで、レビー小体型認知症を引き起こすとされています。ある研究では記憶障害の症状が目立ちだす10~15年前から便秘が始まるとの報告もあり、レビー小体型認知症は“腸から起こる認知症”ともいえるのです。

 80代の男性は、5年前に認知症を発症してからは在宅で介護を受けていました。訪問診療で伺った際に、ポータブルエコーと呼ばれる手のひらサイズの小さなエコーを腹部に当てると、なんと500ミリリットルのペットボトル1本分の宿便が直腸にたまっていました。長らく便を出し切れない状態が続いていたために、腸に便が残っていたと考えられます。

 便秘が続くと腹痛や腹部膨張感のほか、腸内環境のバランスが乱れて免疫力が低下しやすい。他にも、硬い便を出そうと排便時にいきむと、血圧が急上昇して心筋梗塞や脳卒中を起こしやすくなります。実際、救急隊によると心肺停止の発生場所に多いのがトイレとされています。

 たかが便秘と思わず早めに対策を行う必要があります。便は熟したバナナの形と軟らかさが理想とされています。便が軟らかくなるよう食物繊維が多く含まれるオクラなどの野菜やワカメといった海藻類を積極的に食事に取り入れるといいでしょう。水分は一度に多く飲むと、そのまま胃で吸収されて尿として排出されます。こまめに飲むよう促してください。

 また、直腸は横から見ると“くの字”に曲がっています。排便する際はロダンの「考える人」の姿勢をすると、直腸と肛門が真っすぐになり便が出やすくなります。身長が低い人であれば、踏み台に両足を置くと座りが深くなるので、本人の足が床にしっかりとついているか確認し、必要であれば足を乗せてもらうようにしてください。

 近年は新しい便秘治療薬が承認され、今から10年前に発売されたアミティーザ(一般名:ルビプロストン)やグーフィス(一般名:エロビキシバット)、リンゼス(一般名:リナクロチド)など効き目が良く副作用が少ない薬が増えています。4~5日間排便がなければ、かかりつけ医に相談してください。

▽中島淳(なかじま・あつし) 1989年大阪大学医学部卒業、90年社会保険中央総合病院内科勤務、2014年横浜市立大学大学院医学研究科肝胆膵消化器病学教室主任教授を経て、現在の横浜市立大学大学院医学研究科肝胆膵消化器病学教室主任教授を務める。

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