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認知症介護を円滑にさせる「ユマニチュード」とは?【介護の不安は解消できる】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年6月3日 9時26分

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優しいトーンで語りかけを

【介護の不安は解消できる】

 認知症の介護の負担を減らす方法に「ユマニチュード」と呼ばれる技法があります。フランス語で「人間らしさを取り戻す」という意味を持つ造語で、1979年にフランスの体育学の専門家によって開発されました。普段、どれだけ相手のことを大切に思っていても、その気持ちを相手が理解できるよう表現しなければ、相手には届きません。ユマニチュードでは「あなたを大事に思っている」というメッセージを相手へ発信するため、「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの基本の技術があり、相手との関係性を築いていきます。

「見る」とは、大切に思っていることを相手に伝える行為です。ベッド上で過ごす時間が長い人を介護する場合、介護者は相手を上から見下ろした状態になりやすく、意図せずに相手に支配的な印象を与える恐れがあります。また、誰でも睨まれたり横目でチラッと見られたりすると、自分を否定されるような気分になるでしょう。相手を肯定するためにも、介護者は相手の正面から目線の高さを合わせ、優しいまなざしで目を合わせる必要があります。介護者が笑顔で見つめると、ミラーリング効果によって相手も自然と笑い返してくれるのです。

介護者の負担を軽減させ、介護を円滑にさせられる

「話す」とは、優しいトーンで語りかけを行い、相手との間に言葉をあふれさせることです。食事や着替えの介助をしていると、つい夢中になって無言で行っている人も少なくありません。ですが、本人からすれば、“物”として扱われているように感じやすく、自尊心が失われやすくなってしまいます。介護する際は、今何を行っているか言葉にし、言葉かけを行うとよいといわれています。その際、相手から返答がなくても常に話しかけ続け、自分の存在が認められていると感じてもらえることが重要です。

 以前、ある看護師から担当する認知症の患者さんの対応で困っていると相談を受けました。治療がまだ必要で、入院の継続が必要な方でした。自宅に帰りたいと繰り返し訴えて、病院の中で出口を探して歩き回っていました。家に帰りたい理由や、その方が表現している思いを否定せずに聞きながら一緒に納得される方法を提案したところ、気持ちが落ち着いて病院内でとどまれるようになりました。

 このように、ユマニチュードは患者さんだけでなく、介護者の負担を軽減させ、介護を円滑にさせられるのです。次回は「触れる」「立つ」についてお話しします。(つづく)

▽濵優理(はま・ゆり) 山梨県立看護短期大学卒業、1998年山梨医科大学付属病院勤務、2000年島田市民病院勤務を経て、05年から現在の諏訪赤十字病院勤務。

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