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小林製薬「紅麹」サプリ健康被害で思い出す…もうひとつの“コバヤシ”との不吉な符合(重道武司/経済ジャーナリスト)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月4日 9時26分

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混入発覚後1年、再建断念。記者会見する小林化工の田中宏明社長(当時)/(C)共同通信社

【経済ニュースの核心】

 コバヤシ──。メディアなどを通じてその名前が報じられると「省内の空気が一瞬凍りついた」という。厚生労働省幹部のひとりが打ち明ける。

 2020年、当時オリックス傘下だった中堅後発薬メーカー「小林」化工(福井県あわら市)が引き起こした“薬害”事件が想起されたためだ。抗真菌薬の中に睡眠導入剤の成分が混入し死者2人、200人以上が意識消失などの健康被害に見舞われたもので、これをきっかけに後発薬メーカーの品質不正や未承認手順による製造などの不祥事が相次いで発覚。業務停止命令など行政処分続出で結果的に後発薬の供給目詰まりを招き、その混乱は今なお続く。

 そこに「新たなコバヤシ」の登場である。「小林化工も創業時の社名は『小林製薬所』。その符合に何か不吉な影を感じる」。こう呟いて青ざめる当局筋も少なくない。

 実際、小林製薬の紅麹原料を含む機能性表示食品を摂取して死亡したとみられる被害者は先月末までの時点で5人。すでに第1のコバヤシを上回った。入院した人は157人にのぼり、786人が通院や医療機関の受診を求めているという。被害の原因と目される製品が「医薬品」ではなく「食品」とあってその規模は今後、さらに広がっていく可能性も高い。

 そうなると気がかりなのは小林製薬の経営基盤だろう。被害者や原料供給先などに対する多額の補償金支払い負担が発生。損失がかさんで屋台骨が揺らぎかねないからだ。第1のコバヤシは信用失墜で業績が急降下。最終的に後発薬大手のサワイグループホールディングスが全工場と従業員を引き継ぐ形で22年3月、実質破綻処理されている。

■ニッチトップのロングセラーで盤石

 もっとも第2のコバヤシは今のところ経営危機にまで陥る可能性は低そうだ。何しろ23年末で自己資本比率は76.41%。自己資本額は2000億円を超える。単純計算では「500億円規模の最終赤字を4年続けても債務超過転落を免れる水準」(金融筋)だ。

 おまけに無借金経営のうえ手持ち現預金は700億円を上回る。「ブルーレット」や「アンメルツ」「熱さまシート」などニッチトップのロングセラー商品を数多く持ち、競合相手も少ない。市場関係者の間では「事態の早期収束さえ図れれば深手は回避できる」との見方が有力だ。

(重道武司/経済ジャーナリスト)

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