小林製薬の「紅麹」被害めぐり台湾外交部が注意喚起…日本ブランドやインバウンドへの影響は?
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月5日 9時26分
小林製薬の海外展開にもダメージ(小林章浩同社社長)/(C)共同通信社
小林製薬の紅麹サプリメントによる健康被害。収束の兆しは見えず、被害は海外でも拡大している。台湾メディアによると、同社の紅麹を使用した製品を摂取し、体調不良を訴えた人が2日までに11人に増えた。同日には台湾の外交部が定例会見で、紅麹を使用した商品の購入や摂取を控えるよう日本への渡航者に呼びかけた。
小林製薬は海外にも販路を拡大している。中国本土や東南アジアでは「熱さまシート」が人気商品で、3月15日には中国・安徽省に新工場が竣工したばかり。米国では、サプリメントや医薬品を販売している現地企業を昨年に買収するなど、売り上げを伸ばしてきた。
また、訪日客にも同社の製品は人気なようで、2023年12月期はインバウンド需要の増加により、前期比67億円の増収だったと今年2月の決算説明会で発表している。「ナイシトール」や「命の母」といった内服薬が売れ筋商品となっている。
安心安全の根底揺るがす
観光庁によると、昨年の訪日外国人旅行者数は2507万人で、その消費額は約5.3兆円と過去最高を更新した。海外のみならず、国内の巨大なインバウンド市場でも存在感を見せていた小林製薬の不祥事。これを機に、日本製品のブランド力やインバウンド全体にも影を落とすことになるのか。金融ジャーナリストの森岡英樹氏はこう言う。
「健康被害の実態解明はこれからなので、どこまで影響が及ぶかは現時点ではまだはっきりとわかりません。ただ、健康被害を会社が把握してから2カ月も放置し、公表が遅れたということが最大の焦点。日本が売りにしてきた安心安全の根幹が揺らいでしまったはずで、海外からは厳しい目が向けられることになる。日本政府は海外からの投資やインバウンドを推進しようとしていますが、その障壁になってしまうのは間違いないでしょう」
日本のイメージ悪化は避けられそうにない。
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