曙太郎さん死去「最新型ベンツに乗る貴乃花を見て頭に血が上り…」生前に語っていた若貴への強烈ライバル心
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月11日 19時31分
元横綱の曙太郎さん(C)共同通信社
元横綱の曙太郎さんが心不全のため4月上旬に亡くなっていたことが発表された。54歳。史上初の外国出身横綱として角界の歴史に名前を残した曙さんは生前、日刊ゲンダイのインタビュー企画に登場。2011年10月の連載コラム「私の秘蔵写真」では、驚くべき入門秘話を明かしていた。
ハワイ州オアフ島出身の曙さんが東関部屋に入門したのは1988年。18歳だった曙少年は同じハワイ出身だった当時の東関親方(元高見山)にスカウトされ、バスケットボールで推薦入学したハワイの大学を中退、相撲界の門を叩いたが、それにはこんな裏話が。
「最初、親方は自分ではなく2歳年下の弟を欲しがっていたんです。おまえは背が高くて脚が長すぎるから、相撲に向いていないと言われた。でも自分はダメだと言われると燃えるタイプで、逆に頼み込んだ。そうしたら、父親が〈弟を連れて行きたいなら兄貴も一緒に頼む〉とお願いしてくれた。自分は弟のバーターだったんです。ワッハッハ」
88年3月場所で初土俵。そこからわずか5年で横綱に上り詰めた。成長を促してくれたのはやはり、あの2人のライバル、若乃花と貴乃花だったと振り返っていた。
「あの2人がいなかったら、自分はあれほど早く横綱にはなれなかったと思う。とにかく負けたくなかった。番付は半枚でも下にはいたくない。着ているものも、乗っているクルマも負けたくない。横綱時代、貴乃花が最新型のベンツに乗って国技館に来たのを見てカーッと頭に血が上り、そのままクルマを買いに行ったこともある。当時はまだ珍しかった軍用車のハマーを買って、翌日それで乗り付けたら、あまりのデカさにみんな泡食ってました。アイツはバカかと思ったでしょうね。でも、それぐらい気持ちが入っていたんです」
負けたくないから、稽古にも力が入る。若貴が在籍する二子山部屋まで出稽古に行った時は壮絶だった。
「最近、『横綱が出稽古で20番取った』なんて記事をよく見るけど、そんなぬるい稽古はやらなかった。100番、200番は当たり前。貴乃花と2人だけで3時間近くはやってましたからね。血だらけ、砂だらけになりながら、どっちも引き下がらない。終わった時は立てなくなるぐらい疲れているんだけど、相手の部屋ではそんなしぐさは見せられない。部屋を出てから帰る途中に吐いたり、急に体の力が抜けて倒れたこともあった。それでも、あれだけ正面から受け止めてくれる相手がいると、稽古は楽しかった。アッという間に時間が過ぎるんです」
貴乃花との幕内での対戦成績は21勝21敗。ライバル対決はまったくの互角だった。
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