高島屋など大手の決算は絶好調も…インバウンド頼みで百貨店は今後どうなる?
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月18日 9時26分
円安でインバウンドに沸く東京・銀座(C)日刊ゲンダイ
世の中が不況にあえぐ中、アッと驚く好景気だ。インバウンド需要を背景に、百貨店の売れ行きが絶好調だというのだ。
大手百貨店が16日までに発表した2024年2月期の決算では、軒並み売上高が前年より増えている。高島屋は前年比8%増の9521億円。大丸と松坂屋を経営するJ・フロントリテイリングは、前年比15.3%増の1兆1519億円だった。
銀座と浅草に店舗を持つ松屋にいたっては、前年比31.2%増の1149億円という仰天の数字だった。銀座店では、全体の3分の1近くを占める免税売上高が、前年比なんと313%増の337億円。店舗の総売上高は1018億円と、過去最高を更新。インバウンド需要の恩恵を全面的に受けている格好だ。古屋毅彦社長は「銀座は海外のお客さまの明確な目的地になりつつある」と話した。
一方で、苦境に立たされる百貨店も少なくない。東京商工リサーチ情報部の増田和史氏はこう話す。
「インバウンドの客を取り込めるかどうかが、経営に大きな影響を及ぼしているようです。大都市の百貨店はインバウンドが見込める一方で、地方都市は厳しい。特に地方では老朽化した建物を建て替える余力がなく、廃業を選択するケースが多いようです」
実際、ショッピングセンターの普及や、若者の百貨店離れなどにより、都心部でも百貨店の閉店が相次いでいる。インバウンド需要があるかどうかが、分かれ道となっている。この先、百貨店はどうなっていくのか。
■外国人向けになる可能性も
「ショッピングセンターが普及し、百貨店の存在意義がなくなってきていることは事実です。今後、百貨店は従来通り富裕層をターゲットにしながら、インバウンド向けのサービスに存在意義を見いだし、品ぞろえや経営戦略をより訪日外国人観光客を意識したものにしていく可能性があります」(増田和史氏)
慣れ親しんだ百貨店が、インバウンド専門の店に変貌する……。なんてこともあるかもしれない。
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