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外回りは午前3件・午後3件がマスト 元社員が語る学生就職人気の「キーエンス」の人材育成力とは

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月21日 9時26分

 ちなみに私がいたときは、外回りは午前3件・午後3件がマスト。それ未満しかアポがなければ1外出あたりの効率が悪いとされ、外出はNGでした。1カ月で100人ぐらいの顧客と面談していたと思います。ロープレや実戦を合わせた日々の営業「量」と、丁寧に指導してもらえる育成の高い「質」が掛け合わされば、若手営業マンの成長スピードが速いのは必然と言えます。

 他社で営業職に就いている学生時代の友人などと話す機会は多々ありましたが、キーエンス以上に1日の営業訪問件数が多い会社はありませんでしたし、キーエンス以上に高頻度でロープレ指導などの教育を受けている会社もありませんでした。

 この新入社員をすぐに即戦力化する「量×質」の最大化は受験勉強においても必須です。

 私は現在オンライン専門で大学受験指導をしています。オンライン学習というと、自宅で集中しづらいとか、講師とのコミュニケーションが希薄で効果が出ないという印象を持つ方もいるかもしれません。

 しかし私の塾、Studyコーデでは週3回の授業日には、動画や参考書で勉強をしてきた生徒と夜に必ずオンライン面談を実施するルールになっています。その日の重要事項や、問題の解法を生徒の言葉で説明させたり、次回の確認テストに向けた学習プランを発表させたうえで改善アドバイスをしたりしています。講師は社会人のプロのみで、生徒1人に講師1名を専属でつけて対話指導のクオリティを維持しています。それほど高頻度にプロ講師と面談があること、つまり「量×質」を高く保つ仕組みがあることで、生徒の成長は確実かつ高速なものとなると考えています。

 人を育てることには時間と費用の膨大なコストがかかります。それはビジネススキルでも学業でも恐らく共通しています。

 学習塾で言えば、AIツールや大学生アルバイトを活用したり、面談頻度を週1回などに下げたりすれば、人件費を削減して経営面の安定は図れるかもしれません。

 しかし、本気で生徒を高みに導くのであれば「量×質」の最大化にこだわることがやはり重要なのではないかと、私はキーエンスでの経験から感じて今の塾をつくっています。

 ハイレベルな営業の先輩に高頻度で稽古をつけてもらっていたように、社会人プロ講師が高頻度で本質的なコミュニケーションをとることで生徒の成績を上げています。

 私のキーエンス時代の上司は「部下の成長が、自分の価値に直結する」と言葉にするぐらい責任感を持って育成に取り組んでくださる方で、その姿勢に私も大きな影響を受けました。

 受験指導でも、生徒のパフォーマンスの高低は、講師のパフォーマンスの高低を反映したものだと考えて取り組むようにしています。

 優秀な人材を育てることに、簡単な近道などありません。上司、先輩、先生などと呼ばれる立場にある周囲の人間が、知識やスキルを丁寧に伝承して浸透させることが肝要です。キーエンスにはそれを当たり前に日々実行する風土があるのだと思います。

▽名川 祐人(ながわ・ゆうと) 1985年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、株式会社キーエンスの営業職を経て大学受験業界へ。オンライン大学受験塾「Studyコーデ」や高2までの英語塾「OUTCOME」を設立し、オンラインを中心に全国の受験生を指導している。

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