壇蜜、吉岡里帆ら所属事務所を失い戸惑うタレント…変革期に入った芸能界の気になる今後
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月2日 9時26分
壇蜜(左)と吉岡里帆(C)日刊ゲンダイ
壇蜜の所属する事務所「フィット」が3月末に破産手続きを開始。多額の負債を抱え事実上の倒産とみられている。事務所の看板だった壇蜜は100万円を超える未払いのギャラがあるといわれているが、現在は担当していたマネジャーが仕事をフォローしているという。
4月1日には吉岡里帆の所属する「A-Team」が休業を発表した。
自らの意思で事務所を退所、独立する俳優が後を絶たないなか、事務所を失い戸惑うタレントもいる。芸能界は変革期に入ったように思う。
1955年、元ジャズマンの渡辺晋氏がタレントの社会的地位向上を目的に創設した「渡辺(ナベ)プロ」が芸能ビジネスの原点だった。事務所もタレントも増え芸能市場は拡大。自社ビルを建てる大手プロができる一方で、マンションの一室を借り少数で経営する事務所もあった。芸能界の大型スーパーと小さな商店が群雄割拠していた時代。大手プロに対抗するために小さな事務所はジャンルに特化したタレントをつくり送り出した。旧ジャニーズはジャニー喜多川氏が「男性アイドル」という大手に真似できないジャンルで成功を収めた。
野田義治社長率いる「イエローキャブ」は出身事務所のナベプロと競合しない巨乳アイドルを発掘。グラドルブームをつくった。
「グラビアと連動するように写真集も爆発的に売れた。女優や歌手もグラビアに参戦した時代でした」(出版関係者)
平成に入ると巨乳に代わり小倉優子のような癒やし系グラドルが出現。小倉と入れ替わるように出てきたのが妖艶な熟女系の色香漂う壇蜜や愛人キャラの橋本マナミだった。
「グラビアバブル」も次第に勢いを失い、グラドルに特化した事務所は冬の時代を迎えていた。
■芸人中心vs俳優特化
そして今、事務所の主力は芸人を中心にしたタレント事務所と俳優に特化した事務所が覇を競う。
「タレントの世界は人材豊富な芸人を安定供給できる吉本を中心に回っているが、他の事務所も人気タレントをつくるだけでなく、新人をつくり出すノウハウを持ったことで、吉本に対抗。タレント市場は活発に動き続けている」(芸能関係者)
他方、俳優は多種多彩な事務所が揃っている。吉岡が移籍した「フラーム」は戸田恵梨香ら女優専科の事務所。昨年6月、俳優を兼ねて社長に就任した小栗旬の「トライストーン」は綾野剛、田中圭、木村文乃ら人気と実力を兼ね備えた俳優が在籍。阿部サダヲ所属の「大人計画」は演出家の松尾スズキが劇団を主宰しながら俳優のマネジメントもサポートしている。
最近、注目度を増しているのがスターダストだ。ホリプロと肩を並べる大手だが、お笑いには目を向けず俳優部門に軸足を置き若手俳優を育てている。映画では山崎賢人の活躍が目覚ましいが、ドラマでも来年の大河「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の主演を務める横浜流星に続き、再来年の大河「豊臣兄弟!」も同じ“スターダスト”の仲野太賀に決定。来年度前期の朝ドラ「あんぱん」のヒロイン・今田美桜の相手役、漫画家のやなせたかしに北村匠海の起用も発表された。ひと昔前なら「NHKと事務所の癒着」という声も出ただろうが、忖度のうるさい時代。揶揄する声は聞かれない。
映画やドラマも俳優の所属事務所を注視して見るのも一興だ。
(二田一比古/ジャーナリスト)
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