村雨辰剛さんが語る愛猫メちゃんとの日々「ともに自立して生きている 距離感が心地よい」
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月4日 9時26分
村雨辰剛さんと「芽吹き」のメちゃん(本人提供)
僕が仕事から帰ると、三毛猫の「芽吹き」、メちゃんが出迎えてくれます。「にゃあん」と鳴いて僕の胸に飛び込んでくる。廊下を歩くとついてくるし、部屋に入ってもそばを離れない。「もう、あっち行っていいよ」と僕が言っても、メちゃんは僕を目で追っているんです。
そう言うとメちゃんはとんでもなく甘えっ子のように聞こえるかもしれないけれど、僕が留守の間はひとりでちゃんと過ごしています。古い家なので虫が入ってくるのですが、メちゃんは優秀なハンターで、虫を狩る姿には野生があります。僕も、家に残してきたメちゃんの心配はなく仕事に励む。僕たちはそれぞれ自立して生きていて、2人揃ったときに共通の時間を楽しむんです。
僕が生まれ育ったスウェーデン南部の小さな田舎町では、家に馬や豚やウサギや犬などたくさんの動物が一緒に暮らしていました。普通に猫もいて、だから僕にとっては猫もどんな動物も一緒。日本ではよく犬派か猫派かと聞きますが、比べる感覚が僕にはわかりません。動物はみな、共存しているものだと思うから。ただ、猫は単独で暮らすのが上手な動物なので、1人暮らしの今の僕の生活に合っているんです。
メちゃんは、以前住んでいた家の近くで保護した猫。子猫だったけれど親兄弟とはぐれたみたいで、お腹をすかせて弱っていました。猫と暮らしたいと思いながらもペットショップで買うのは不自然だと思っていた僕にとって、この偶然の出会いは喜びでした。家に連れて帰り、「木々に新しい芽が出るように元気に育ってほしい」という願いを込めて「芽吹き」と名づけました。
メちゃんは僕を親だと思っているのかもしれません。とても素直で、僕が「ダメ」と言ったら「ニャ」と答えてやめます。犬のような性格ですね。僕はベタベタかわいがることはしないので、友人にはよく「クールすぎる」と言われます。よその猫には構いすぎて逃げられたりもするけれど、メちゃんには逆。ツンデレの二面性はないメちゃんは、僕にデレデレだから。だけど、他の人にはしない。デレデレするのは僕にだけですよ。
(構成=鈴木美紀)
▽村雨辰剛(むらさめ・たつまさ) 1988年生まれ。スウェーデン出身。幼い頃から語学が得意で外国に興味を抱く。日本語も勉強し、上達と共に日本で暮らしたいという目標を持つ。語学講師を経て、日本伝統文化と関わって仕事がしたいと見習庭師に転身。26歳で日本国籍を取得し村雨辰剛に改名。庭師、俳優としても活躍中。
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