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「陛下にもっと近くでご覧に入れたかった」春日野理事長の皇室への思いは遠い昔か【親方と力士のホンネ「蘇る角言」】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月9日 8時0分

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宮城野部屋(左から元白鵬、北青鵬)/(C)共同通信社

【親方と力士のホンネ「蘇る角言」】#50

 2020年初場所14日目、天皇ご一家は即位後初めて大相撲を観戦された。直後にコロナ禍が始まり、今のところこれが令和唯一の天覧相撲となっている。日常が戻り、今年初場所はそろそろ……と期待する日本相撲協会関係者が多かったが、実現していない。

 明治初期、裸稼業として蔑視されていた大相撲の社会的地位が一変したのは、天覧相撲の始まりによるところが大きい。以来、皇室との深い関係は大相撲の存立を支えてきた。とりわけ昭和天皇の相撲通ぶりは、「ご説明役」の理事長が冷や汗をかくほどだった。

 貴賓席は蔵前、両国とも2階最前列にある。蔵前時代にも両国国技館建設の際にも、相撲協会は何とか1階にと働きかけたが、警備上の問題でかなわなかった。1985年、自慢の現国技館開場にあたり、当時の春日野理事長(元横綱栃錦=円内)は残念そうに話した。

「陛下にお好きな相撲をもっと土俵の近くでご覧に入れたかった。これだけが心残りだよ」

 平成の時代にも皇室との関係を示す出来事があった。

米大統領と安倍首相が来場した際は警備のために1000席使用

 2010年名古屋場所、野球賭博で多数の処分者を出した相撲協会は、天皇賜杯の授与を自粛したところ、賜杯なき優勝を果たした白鵬(現宮城野親方)に天皇陛下(現在の上皇さま)からねぎらいのお手紙が届いている。

 だが、令和元年の19年夏場所、ドナルド・トランプ米大統領が安倍晋三首相とともに来場した際は1階升席にいすを並べて観戦した。警備のために1000席使ったともいわれている。春日野さんが健在だったらどう思ったか。

 そして今年2月23日の天皇誕生日。両陛下がコロナ以降初めて、事前抽選のない一般参賀に臨まれ、国民の祝福を受けたその日、相撲協会は何をしたか。

 臨時理事会を開き、宮城野部屋の北青鵬が起こした暴力事案の処分を決めて発表した。

 20歳未満の力士の飲酒など法令違反を犯しても示さないことがあるコンプライアンス委員会の調査内容を、この時は詳しく発表し、メディアに「睾丸平手打ち」などの文言が飛び交った。天皇誕生日のニュースを押しやるように。この日を選んだ理由を、どう「ご説明」するのだろう。 (おわり)

▽若林哲治(わかばやし・てつじ)1959年生まれ。時事通信社で主に大相撲を担当。

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