「金」の歴史的高騰はまだまだ続く…中国筆頭に中央銀行が爆買いするワケ(重道武司)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月9日 9時26分
バイデン米大統領と中国の習近平国家主席(C)ロイター
【経済ニュースの核心】
「ゴールデンウイーク(GW)」なる毎年恒例のお祭り騒ぎは終わったが、本物の金(ゴールド)を巡る市場の熱狂はなお収まりそうにない。
金相場の歴史的高騰が続いている。年初以来、国内外で連日のように史上最高値を更新し、足元では1トロイオンス(=31グラム強)2400ドル前後(ニューヨーク先物)の水準に。ここ1カ月余りの間にも150ドルほど切り上がった形になる。
■「もしトラ」に備えている?
市場関係者の間では「中長期的には4000ドルくらいまで上昇する」との観測も飛ぶほど。1グラム当たりに換算すると約2万円にもなる計算だ。
粘着質な米国のインフレに、ウクライナや中東をはじめとするさまざまな地政学的リスク、さらには「もしトラ」の可能性など先行き不透明感の高まりを踏まえると「金」という実物資産に資金を移しておいた方が「安全かつ無難」といった投資家心理の発露か。
ただ、今回の相場騰勢にはもう一つの要因がある。各国中央銀行による猛烈な「金買い」だ。なかでも積極的なのが中国人民銀行で、購入量から売却量を差し引いた、いわゆる「買い越し」は17カ月連続。金の国際調査機関「ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)」によると、今年3月末時点における人民銀の金保有高は7274万トロイオンスにまで膨らんだ。ドルベースにすると約1611億ドル分で、2月末に比べ8%強の伸びだ。
22年のウクライナ侵略に伴い米国やEUなどはロシアに対して経済制裁をかけた。ロシア中銀が保有する外貨建て在外資産を凍結するとともに、ロシアを国際的なドル決済網から締め出した。米中対立が深刻化する中、こうした西側の動きに中国が神経をとがらせるのは当たり前だろう。
いざとなれば米国は基軸通貨ドルの覇権にものをいわせて中国に対しても同様の措置に踏み切るのではないか--。そんな危機感に駆られてのことだろう。人民銀が金の“爆買い”へとかじを切ったのはここから。一方で売りまくったのが米国債で、人民銀の外貨準備に占めるドル建て資産の割合は「すでに大幅に低下した」(メガバンク筋)とされている。
米中双方のデカップリング拡大・加速は、軍事的衝突へと発展しかねない危険な芽をはらむ。
(重道武司/経済ジャーナリスト)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
金が高騰「2000年頃買っておけば13倍」との声も... 世界にプール5杯分しか存在しないという金の歴史と高騰理由【MBSニュース解説】
MBSニュース / 2024年5月14日 19時25分
-
「金」相場は歴史的な高騰に沸くけれど…次なる投資先に銀・プラチナはアリ?
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月10日 9時26分
-
為替介入の目的は「ドル安・円高トレンドへの転換」ではない ~為替介入の仕組みと効果について【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月8日 12時45分
-
アメリカ長期金利上昇でも金に投資していいのか 今後価格が急落するリスクは本当にないのか
東洋経済オンライン / 2024年4月28日 20時30分
-
円安はいつ終わるのか!?
トウシル / 2024年4月25日 17時6分
ランキング
-
1ドライバー不足で修学旅行の貸切バス手配が突然キャンセルに 近畿日本ツーリストは謝罪「総動員して修学旅行の実施に努める」
ねとらぼ / 2024年5月17日 16時5分
-
2上川外相「うまずして」発言 SNSで「曲解」批判相次ぐ 専門家「状況を考慮する必要」
産経ニュース / 2024年5月19日 18時31分
-
3「ガラケーの使い方が分からない…」スマホ世代の新入社員が訪問先で“やらかした”大騒動
日刊SPA! / 2024年5月19日 15時54分
-
4白髪は禿げないのは本当? 目立たせないドライヤー活用法はあるのか?【プロに学ぶ「白髪染め」「白髪のぼかし」】
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月20日 9時26分
-
5「家を借りられない」「老人ホームにも入れない」身寄りのない“孤独な高齢者”が増加する日本を待ち受ける残酷な未来とは
日刊SPA! / 2024年5月20日 8時52分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください