アメリカ長期金利上昇でも金に投資していいのか 今後価格が急落するリスクは本当にないのか
東洋経済オンライン / 2024年4月28日 20時30分
金(ゴールド)市場は今後も高値を更新し続けるのだろうか。
国際指標であるニューヨーク先物市場の価格(中心限月である6月限)は、3月後半には1トロイオンス(約31.1グラム)=2200ドルの節目を意識、モミ合い状態が続いていた。だが4月に入ると買いが加速。一気に史上最高値を更新し、12日には初めて2400ドル台まで値を切り上げる展開となった。
国内の小売価格(地金商最大手の田中貴金属工業)も、円安が進んだこともあり、22日に1グラム=1万3105円と過去最高を更新している。
今回の上昇局面で特筆すべきなのは、本来は金にとっての逆風、つまりアメリカの長期金利が再上昇し、ドル高が続く中で、金価格上昇の勢いが収まらない点だろう。
足元で金市場を動かしている真の要因はいったい何か。こうした流れはいつまで続くのか、逆に一転して大きく値を崩すリスクはないのか。金ETF(上場投資信託)などでの投資ニーズも高いことから、経済状況をにらみながら分析してみよう。
アメリカのインフレ圧力は市場の想定以上に根強い
まず、金市場の動向にいちばん大きな影響を与えるとされる、金利やドルの動向を確認しておきたい。
インフレが高止まりする中、アメリカの長期金利は上昇傾向が強まっている。4月10日発表の3月の消費者物価指数は前月比0.38%上昇と、1月や2月に続いて想定以上の強い伸びとなった。変動の激しいエネルギーと食品を除くコア指数の前年比で見ても、わずかながら昨年3月以来で前月を上回る伸びとなっている。
また、エネルギーが前年同月比で2.12%上昇し、昨年2月以来となる前年比プラスに転じたほか、サービス価格も同5.27%上昇し、4カ月ぶりに5%台の伸びとなった。
これまでインフレ圧力は後退してきたとされてきたが、あらためて強まる兆候が見えている。26日に発表された3月の個人消費支出のコア物価指数も前年同月比2.8%上昇で、やはりインフレ圧力の根強さを示した。
一時は国際指標であるニューヨーク原油先物価格が1バレル=85ドルを超えたように、エネルギー価格の上昇は中東情勢の緊迫が原因となった。また、サービス価格が再び強含んでいるのは、依然堅調な雇用が続き、個人消費も旺盛なことなどが背景にある。インフレ圧力が早期に鎮静化する可能性は低くなっている。
長期金利上昇でも金が買われやすい局面が継続か
こうした状況下、市場ではFRB(連邦準備制度理事会)が早期に利下げに転じるとの見方は一段と後退している。
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