アーティスティックスイミング 3人の五輪メダリストが語る注目ポイント…ルール変更で生まれた“新しさ”【パリ五輪メダル有力競技 ココが見どころ】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月4日 17時10分
![アーティスティックスイミング 3人の五輪メダリストが語る注目ポイント…ルール変更で生まれた“新しさ”【パリ五輪メダル有力競技 ココが見どころ】](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/gendainet/gendainet_1046789_0-small.jpg)
演技する日本(2024年ドーハ世界水泳選手権チームFR)/(C)共同通信社
【パリ五輪メダル有力競技 ココが見どころ】
1984年から五輪競技入りしているシンクロナイズドスイミング改め、アーティスティックスイミング(AS)。日本勢はこれまで計14個のメダルを獲得していて、パリの大舞台での活躍に期待がかかる。
種目は「チーム」と「デュエット」の2つ。チームは、テクニカルルーティン(TR)、フリールーティン(FR)、アクロバティックルーティン(AR)、デュエットはTRとFRを演じ、それぞれの合計点で順位が決まる。ちなみに、ARは今大会から採用される新項目だ。
観戦する上で念頭に置くべきは、【前編】で詳しく触れた2023年から本格化した採点ルールの変更だ。取り巻く環境が大きく変わる中、注目ポイントはどこなのか。3人の五輪メダリストに話を聞いた。(【前編】からつづく)
◇ ◇ ◇
AS界はまさに戦国時代。下克上も起こりうる。手に汗握る試合展開が予想されるが、どこに注目すればより観戦を楽しめるのか。
武田氏が観戦初心者に向けてこう話す。
「ASは“アーティスティック”と冠しているだけに芸術性を保つ必要があり、これも採点要素です。ウオークオン(登場から飛び込むまで)から採点されるようになったため、各国は項目ごとに自分たちの掲げるコンセプトを組み体操などでアピールする。もちろん、ユニホームもテーマに沿ったものを着用しています。登場シーンから各国の表現したいことを推測して、演技を見ながら意図をくみ取っていくとより一層、面白いと思います」
三井氏が付け加える。
「ASは技ごとに細かく難度が決められているから、高得点を狙おうとすると各チームが似たような構成になりがちです。だからこそ他と差異をつけるために可能な限り個性を出そうという傾向にあり、結果的に新しい技や表現方法が次々に誕生しています。その“新しさ”にも注目してほしいですね」
2人の意見に同調しながらも、別の新しさに目を向けているのが箱山愛香氏だ。今大会から1チーム2人まで男子の参加が可能になったことを挙げ、こう話す。
「日本は女子のみで出場しますが、男子が参加できるようになったのは非常に革新的です。男子がリフト(ジャンプ台の役割)をしたら跳ぶ高さも段違いで、よりインパクトのある演技ができる。どこの出場国が男子を入れるか現時点では分かりませんが、目を光らせておきたいですね。とはいえ、男女混合チームは一長一短。手足の筋肉の付き方が違うから、同調性の部分でマイナスになる可能性があります。女子だけでも、混合でも、どちらが有利不利ということはないので、それぞれの違いや表現の幅を感じてもらいたいです。また、五輪に導入されるチームのARは必見です。多種多様なジャンプの大技が詰め込まれているから迫力満点。高さやスピードが格段に向上していて、ジャンパーが空中で体をひねりながら他の選手を飛び越えたりと、これまでの常識では考えられなかったような大技を連続で見せてくれます。誰もが競技の進化を体感できるし、初めて見る人もきっと度肝を抜かれるはずです」
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